大切な人が亡くなった時に、「故人を身近に感じながら供養したい」「遺骨をそばに置いておきたい」と考える人が増えています。
また、「すぐには埋葬について考えられない」「気持ちの整理がつくまで納骨を待ちたい」という人も少なくありません。
最近は多様な供養方法が選べるようになり、埋葬のタイミングも人それぞれになってきています。しかし、遺骨の埋葬には期限はないのでしょうか?
今回は遺骨の埋葬期限や時期についてと遺骨の保管に関する注意点を紹介していきます。
遺骨の埋葬・納骨の期限はいつまで?
遺骨の埋葬・納骨は「いつまでにしなければいけない」という決まりはありません。
火葬後の遺骨は、四十九日や一周忌のタイミングで納骨するものと考える人が多いですが、これは法律で定められたものではなく、仏教の考え方に由来するものなのです。
つまり、遺骨の埋葬や納骨の時期は故人やご遺族の意思で決めることができるのです。
では、埋葬・納骨に最適な時期はどのように決めるのがよいのでしょうか?
次で詳しく紹介していきます。
遺骨の埋葬・納骨のベストなタイミングとは?
遺骨の埋葬・納骨に最適なタイミングというのは、人それぞれです。ここでは埋葬時期を決める時に考慮したい点をご紹介します。
四十九日や一周忌にはまだ埋葬する気になれない場合は、まずはしっかりお別れの時間をとってください。気持ちの整理がついたら埋葬日を考えましょう。
故人との記念日や誕生日を選ぶ方もいらっしゃいます。あなたなりに供養しやすい日を選んでよいのです。
遺骨は保管状態によっては、カビが生えてしまったり、液状化してしまったりすることがあります。遺骨が経年変化する前に埋葬することが大事です。
すぐに埋葬・納骨できない場合は、保管方法や注意点をよく確認しましょう。
埋葬・納骨のタイミングとして一般的に多いのは、四十九日や一周忌です。
仏教の考え方で、故人が49日間かけて現世からあの世へ向かうことから、四十九日のタイミングに法要を行います。この際に親族が集まるので、納骨を行うことが多いのです。
近親者が亡くなった時、一年間は「喪中」となり、丸一年たつと「喪が明ける」と言われるように、四十九日の他に選ばれることが多いのは一周忌です。新たにお墓を建てる場合も、この時期になるケースが多いようです。
また、「四十九日や一周忌に気持ちの整理がつかない」という方は、故人が亡くなって100日目の「百か日」や、亡くなってから2年目の命日となる「三回忌」といったタイミングを選ぶ人も少なくありません。
では、宗教において、埋葬・納骨時期に決まりはあるのでしょうか?
仏教、神道、キリスト教において、埋葬時期についての決まりや規定はありません。しかし、宗教的に多く選ばれている時期があります。それを埋葬時期の目安とするとよいでしょう。
以下に、神道とキリスト教の例を紹介します。
神道の法要は10日ごととなっており、亡くなって50日目に行う「五十日祭」で埋葬するのが一般的です。一方で、神道でお葬式を行ったあとは、仏教の流れに準じる場合も少なくありません。
キリスト教では、1ヵ月後の追悼ミサのタイミングで埋葬することが多く、その他、7日目の追悼ミサ、1年目の記念ミサに埋葬する場合があります。
遺骨の埋葬・納骨の仕方
では、遺骨の埋葬方法には大きく分けて、「納骨する方法」「納骨しない方法」があります。
お墓、納骨堂、永代供養墓などに納骨する方法で、埋葬場所は墓地や霊園などになります。従来ある一般的な埋葬方法です。
樹木葬や散骨などで遺骨を自然に還す自然葬や、遺骨を自宅や手元に置いて供養する方法です。最近増えているのがこの方法で、「納骨はしたいがなかなかお墓参りに行けない」「故人を近くに感じていたい」という人が選ぶ傾向にあります。
一方で「納骨せずに遺骨を自宅に置いたままにするのはよくない」という考えは根強くあります。納骨しない方法を選ぶ際は、親族に相談し理解を得ることが大事です。
納骨する場合は、どのような流れになるのでしょうか?
納骨までの期間における遺骨の保管方法についても見ていきましょう。
- 火葬場から遺骨を持ち帰る
- 後飾りの祭壇を作り、遺骨を安置する
- 四十九日を過ぎたら祭壇を解体する
- 納骨する
四十九日を過ぎても納骨しない場合、後飾り祭壇を解体せずにそのまま遺骨を置いておくケースもあります。また、遺骨は納骨の仕方に応じて保管期間が変わってきます。
例えば、新しくお墓を建てると2~3ヵ月程かかるので、それまでの期間は自宅で保管する必要があります。
今は、お寺や納骨堂などで一時預かりのサービスもあるので、自宅保管が難しい、抵抗があるという方は利用するとよいでしょう。
最近は、納骨しない供養方法を選ぶ人が増えています。納骨しない場合の供養方法には、散骨、自宅供養・手元供養などがあります。
遺骨を山や海などに撒いて自然に還す供養方法です。
遺骨やその一部を自宅に安置することを指します。
最近は、自宅供養や手元供養を選ぶ人が増えています。故人を身近に感じられる、毎日拝めるなどの理由で選ぶ人が多く、お墓の管理やその費用が不要という利点があります。
自宅供養の方法には種類があります。
- 遺骨すべてを自宅に置いて供養する。
- 遺骨の一部を自宅に安置し、残りはお墓などに納骨または散骨する。(分骨)
分骨して自宅供養・手元供養する場合は、火葬後の骨揚げの際に小さな骨壺などに分けてもらうのが一般的です。事前に葬儀担当者に分骨したい旨を伝えておきましょう。
また、自宅供養はあくまで遺骨の安置のみを指します。自宅の庭などに勝手に埋葬することは、法律で禁止されているので注意しましょう。
自宅供養や手元供養の際、遺骨はどのような形で安置するのでしょうか?
ここでは、さまざまな供養品をご紹介します。
従来の大きくて堅苦しいお仏壇ではなく、リビングや寝室の一角に置けるサイズで、人目についても気にならない、おしゃれなデザインのものが多数登場しています。
分骨した遺骨の一部を入れられるネックレスや、指輪、ブレスレットなどがあり、故人を常に身近に感じていたい人に人気のアイテムです。
遺骨をプレートや置物、天然石・宝石やジュエリーなどに加工する方法で、最近注目されている供養品です。
遺骨の保管の仕方
多様な供養方法が登場する中で、故人を身近に感じることができる自宅供養や手元供養を希望する人も増えています。納骨の有無に関わらず、一定期間、遺骨を自宅で保管される方も多いのではないでしょうか?
ここでは、遺骨を自宅安置する際におすすめの保管方法をいくつかご紹介します。
遺骨を細かく砕いて粉末状にすることで、散骨や手元供養の際に利用する方法です。粉骨すると、遺骨の体積が減るので、さまざまな供養方法が選びやすくなるという利点があります。
すぐには気持ちの整理がつかず埋葬方法を決められない場合や一定期間は自宅供養したいという場合は、後の選択肢を多く残しておく意味で、おすすめの方法です。
遺骨を2ヵ所以上のところに分けて供養する方法です。一部は手元に、残りは散骨したり、お墓などに納骨したりするというケースが多いです。
気持ちの整理はつかないが、納骨せずに置いておくのは気が引けるという人には、分骨して一部を手元供養するこの方法をおすすめします。
遺骨の保管時の注意点
遺骨を自宅で保管する際には、いくつか注意が必要です。
保管場所や保管状態によっては、遺骨にカビが生えてしまうことがあるからです。カビを防ぐには、骨壺内の温度変化や湿度、結露に注意が必要です。
長期的に自宅保管を考えている場合は、以下の点に注意して、遺骨の保管場所を検討しましょう。
- 直射日光が当たらない場所に置く
- 昼夜の気温差が少ない場所に置く
- 風通しのいい環境を整える
- 水まわりの近くに置かない
- 骨壺をむやみに開けない
- 遺骨を素手でさわらない
結露の多い窓際は避ける、リビングより暗い寝室に置くなど、工夫しましょう。
また、最近では、密封できる骨壺や真空パックできるサービスが登場しているので、利用を検討するとよいでしょう。
手元供養の後は最終的にはどうするのか?
遺骨は、最終的にはいずれかの方法で埋葬しなければいけないことが、法律で定められています。「永遠に手元に置いておく」ということはできないのです。
例えば、最近増えている「孤独死」では、遺骨が遺品として残されているケースが多いそうです。この場合、遺骨は法定相続人に引き渡されますが、処分に困って受け取り拒否や、たらいまわしにされることも少なくないそうです。
手元供養の際は一定期間を経たら、遺骨の最終的な埋葬方法を決めておきましょう。
まとめ
遺骨の埋葬方法や供養の仕方は多様化しています。
「自宅に遺骨を置いたままでは成仏できない」「遺骨を分けるとよくない」という考えも根強いですが、故人や遺族が納得できる方法を選ぶことができる時代でもあるのです。
大事なのは、無理に世間一般的な埋葬時期に合わせるのではなく、自分や家族・親族が納得のいくタイミングを選ぶことです。あなたらしい供養の方法と時期を見つけてください。
著者情報
未来のお思託編集部 散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。 |