我が国古来の「お焚き上げ」とは?

1年間お世話になった御札や御守りなどを、神社・仏閣に依頼して焚き(たき)上げていただくことで知られる「お焚き上げ(おたきあげ)」

お焚き上げには古くからの歴史と深い意味があります。

もとは平安時代に、天下泰平・五穀豊穣・家内安全を願う仏教行事として、また陰陽師(おんみょうじ)による国家安泰を願う宮中行事として始まりました。

これらが、現代ではお正月に歳神(としがみ)を迎えた御札などを小正月(1月15日頃)に焚く「どんど焼き」、さらには供養品を焚く『お焚き上げ』供養に変化してきました

お焚き上げでは、祈禱(きとう)を捧げ、火を焚いて物品を投入しますが、宗教行事として利用される火には浄化と供養の作用があります。穢れ(けがれ)を焼き尽くし、見えない対象に届けるという意味を持つのです。

御札や御守りだけじゃない! お焚き上げ供養

近年では、神仏像・御札や御守り・位牌を供養することのほかに、遺品整理としてもお焚き上げ供養が利用されています

故人の思い出の詰まった、捨てるに忍びない遺品の依頼は多く、故人のコレクションだけでなく、衣類・布団・印鑑・表札・数珠なども依頼が多いと聞きます。

また、現代の住宅事情から使用困難となった神棚や仏壇仏具なども、お焚き上げとして依頼するのが望ましいでしょう。

遺品の供養として考えがちのお焚き上げですが、それだけではありません。

高齢化社会を迎え、家族に負担をかけないよう「終活」のための生前整理としてお焚き上げを行う人も増えています。

それ以外にも、生前整理とまではいかなくとも、保管していた貴重品・・・例えば手紙や写真・臍の緒(へそのお)・乳歯・年賀状・賞状といった大切な家族や親しい人の品を、気持の区切りとしてお焚き上げに依頼することもできるのです。

小さなころから愛用していた子どものぬいぐるみや、雛人形・五月人形を焚き上げる人形供養なども、よく知られるところです。

『お焚き上げ』とは、思いのこもった品・歴史ある品などが不要となった場合も、廃棄せずにお焚き上げを依頼して供養していただくことで、今を生きる人が気持ちを新たにすることができる大切な行事と言えるでしょう。

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未来のお思託編集部
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