火葬をした後、遺骨はどのように取り扱ったらよいのでしょうか?

今回は、遺骨を引き取ってから埋葬までの流れや、さまざまな供養方法について見ていきましょう。また下記の項目などについても詳しくご紹介します!

  • 一般的に多い埋葬法である「納骨」とはどのようなものか?
  • お墓を建てずに納骨する方法
  • お墓の遺骨がいっぱいになってしまったときの対処方法

そして、「遺骨を引き取らない」という選択肢についてや、最近増えている「墓じまい」についても触れていきます。

遺骨とは?

人が亡くなった場合、一般的には告別式やお葬式を執り行い、火葬をします。そして、火葬後に残った骨のことを「遺骨」と言います。

「遺灰」と言う言葉もよく耳にしますが、遺骨との違いは形状にあります。

遺骨

骨として形が残っている状態のもの

遺灰

遺骨を砕いて細かい灰状にしたもの

最近は、散骨や自宅供養、手元供養などの需要が高まっており、遺灰での受け取りを希望する人が増えています。遺灰の状態であれば、一部は手元に残して他は納骨や散骨するといった分骨での供養が行いやすくなります。

なお、手元供養の後などに遺骨を自宅の庭に勝手に埋めるということは、法律違反になるので注意しましょう。「墓地、埋葬等に関する法律」で、遺骨の埋葬は自治体が認可した場所にのみ許されると定められています。

葬儀・火葬から遺骨の埋葬までの流れ

葬儀・火葬から遺骨の埋葬までの流れ
ここでは、人が亡くなった後はどのような流れで火葬と埋葬が行われるのかご紹介します。

  1. 葬式・告別式後、出棺
  2. 火葬場へ移動
  3. 炉の前で最後のお別れ(読経)
  4. 焼骨(1~2時間程度)
  5. 骨上げ(収骨)
  6. 繰り上げ初七日法要や精進落としの食事
  7. 遺骨を持って帰宅
  8. 後飾り祭壇で遺骨を自宅安置
  9. 埋葬・納骨
骨上げ(収骨)とは?
2人で箸を使って遺骨をつまみ、骨壺に納めます。足から納めていき、最後に頭蓋骨で蓋をするというのが一般的な流れです。
繰り上げ初七日法要とは?
本来は故人の命日から7日目に行う法要ですが、最近は短期間で何度も行き来するのが難しいとして、火葬後に繰り上げて行うケースが増えています。
後飾り祭壇とは?
自宅に持ち帰った遺骨を、埋葬日や忌明けまで自宅で安置する際の仮置き祭壇のことを指します。

納骨・埋葬の期日は特に決められていませんが、一般的に四十九日や一周忌の後に埋葬することが多いようです。

遺骨の埋葬・供養にはどのような方法があるか

遺骨の埋葬・供養にはどのような方法があるか
遺骨の埋葬法には、「納骨」「自然葬」「自宅供養」があります。

納骨とは?
骨壺に入れた遺骨をお墓に納める方法です。
自然葬とは?
散骨や樹木葬などで、遺骨を自然に還す方法です。
自宅供養とは?
遺骨を自宅に安置、供養する方法です。

従来はお墓に納骨するのが一般的でしたが、最近はお墓以外の供養方法を選択する人が増えてきています。

自宅供養・手元供養を選ぶ人は、お墓の継承者がいない、お墓の管理が難しいなどの理由が主ですが、お墓よりも故人を身近に感じられるとして要望する人も多いようです。

また、遺骨の一部を手元に取って置き、残りをお墓に納骨したり、散骨したりするというケースも少なくありません。このように、遺骨を2ヵ所以上の場所に分ける方法を「分骨」と言います。

納骨(遺骨をお墓に納める)とは?

納骨(遺骨をお墓に納める)とは?
納骨は、骨壺に入った遺骨をお墓に納めることを指します。一般的に多いのは先祖代々のお墓や新たに建てたお墓に納骨する形式です。

しかし、最近はお墓を建てずに納骨する方法を選ぶ人が増えてきています。

例えば「納骨堂」「合祀墓」「レンタル墓」「樹木葬」などがあります。お墓を建てるよりも安価に埋葬でき、霊園や寺院が家族に代わって供養・管理してくれるため、「お墓の継承者がいない」「お墓の管理が今後難しい」「お墓を建てる費用がない」という理由で選ばれることが多い納骨先です。

納骨までの流れ

では、納骨までにどのような準備が必要なのか見ていきましょう。

大まかな流れは以下になります。

  1. 納骨先を決める
  2. 納骨時期を決める
  3. 納骨に必要な書類を用意する
  4. 納骨式の準備をする
納骨に必要な書類とは?
「遺骨埋葬許可証」と「墓地使用許可証(受入許可証)」になります。
遺骨埋葬許可証

役所で発行される「火葬許可証」に、火葬場で「火葬済」の押印をしたものです。

墓地使用許可証(受入許可証)

墓地や霊園に納骨する際に管理者から発行してもらうものです。

納骨式とは?
納骨の際に行う法要のことを指します。親族が集まり納骨後、読経や焼香の後に会食をするという流れが一般的です。値段の相場は一般のお墓への納骨の場合は25万円程度で、内訳は墓標などへの彫刻料、お布施代、会食費、引き物代などになります。

お墓の遺骨がいっぱいになってしまったら

お墓の遺骨がいっぱいになってしまったら
先祖代々お墓を継承している場合や小さい区画面積の墓地では、お墓の遺骨がいっぱいになってしまうことがあります。そのようなときは、どうしたらよいのでしょうか?

新たに別のお墓を建てる

お墓を複数所有する、またはお墓を改葬する方法ですが、高額な費用がかかるだけでなく管理も大変なので、現実的な対処法ではありません。

古い遺骨を整理してスペースを確保する

最後の年忌法要(弔い上げ)を終えた遺骨を整理する方法です。弔い上げは一般的に三十三回忌や五十回忌の場合が多いようです。古い遺骨を整理する方法は、以下の3つがあります。

  • 土に還す(遺骨を骨壺から出しカロートの土の上に直接撒く・埋める)
  • 遺骨を砕いて(粉骨をして)容量を減らす
  • 一つの骨壺にまとめる

ただし、土に還すと改葬の際などに取り出すことができなくなるので注意が必要です。

また、お墓の中の遺骨は、いずれいっぱいになることが考えられますので、あらかじめ家族や親族と相談しておくことをおすすめします。

お墓の継承者がいない場合

お墓の継承者がいない場合
今までは先祖代々の墓に納骨してきたが、自分の後にお墓を継承する人がいない、というケースが最近増えています。このような場合、お墓を撤去する「墓じまい」を考える必要があります。

お墓の撤去には、誰もが罪悪感や抵抗感を抱くでしょう。しかしながら、継承者がいないままお墓が放置されて荒れてしまい「無縁仏」になるよりも墓じまいをする方が良いでしょう。

ここで、墓じまいを検討する際におさえておきたい、大事なポイントがあります!

墓じまいを検討している旨を、親族全員に知らせる。相談する。理解を得ること
墓じまい後の供養方法を親族と話し合うこと

墓じまいに関するトラブルで多いのが親族間の問題です。事前の相談で、できる限り理解を得るように努めましょう。

墓じまいを選択した場合の遺骨の処分や移動

墓じまいを選択した場合の遺骨の処分や移動
墓じまいを選んだ場合、お墓を解体・撤去するので、お墓から遺骨を取り出す必要があります。そして、取り出した遺骨は、新たな場所に安置する、散骨するなど行き先を検討しなければいけません。

遺骨を勝手に遺棄すること、処分することは、法律違反になるので十分に注意しましょう。

遺骨の移動先には、以下の選択肢があります。

  • 永代供養墓
  • 樹木葬
  • 散骨
  • 手元供養

家族に代わって供養してもらえる永代供養墓は、墓じまいで一番多い埋葬法ですが、一定期限を過ぎると他の人の遺骨と一緒に合祀される契約の場合があります。合祀について抵抗を感じる人もいますので、埋葬先は親族としっかり話し合って決めましょう。

遺骨の行き先が決まったら、改葬に必要な以下の書類を準備します。

  • 改葬許可申請書
  • 埋蔵証明書
  • 受入証明書
お墓以外の供養方法:自然葬

お墓以外の供養方法:自然葬
遺骨の埋葬法として最近人気を集めているのが、散骨や樹木葬などの「自然葬」です。

自然に還したいという希望だけでなく、「お墓の継承者がいない」「お墓の管理で子どもに負担をかけたくない」という理由からも選ばれることが多い方法です。

散骨とは?
遺骨をパウダー状に砕いて遺灰にした後、山や海などに撒いて供養する方法です。すべて散骨せずに、一部を手元に残して供養するケースも少なくありません。
樹木葬とは?
樹木を墓標の代わりにして遺骨を埋葬する方法です。遺骨を「納骨室に納める形式」と「土に埋めて納める形式」があります。

自然に還すと言えど、散骨や埋葬できる場所は決められています。むやみに遺骨を撒いたり、埋めたりすると法を犯す行為になりますので注意しましょう。

お墓以外の供養方法:自宅供養

お墓以外の供養方法:自宅供養
自宅供養というのは、遺骨を自宅に安置・供養する方法です。

四十九日や一周忌に遺骨を埋葬するケースが一般的ですが、まだ埋葬する気になれないという場合や故人をもっと身近に感じていたいなどの理由で選ぶ人が増えています。

自宅供養では、遺骨を骨壺に入れて安置するのが一般的ですが、最近は多様な供養アイテムが登場しています。

例としては、リビングや寝室の一角に置ける「おしゃれなミニ骨壺やミニ仏壇」「遺骨を粉砕してアクセサリーやプレートなどの供養品」に加工するといったものです。

なお、長期的に遺骨を自宅安置する場合は注意が必要で、温度差や湿度によっては遺骨にカビが生えてしまうことがあるので、適切な保管方法を確認してください。

遺骨を引き取らないという選択肢

遺骨を引き取らないという選択肢
実は納骨しない埋葬方法の一つに、そもそも火葬場で遺骨を引き取らないという方法があります。

遺骨は、原則的には親族が引き取らなければいけないのですが、拒否(収骨拒否)することができるのです。

遺骨を引き取らないという選択は故人と親族の関係が希薄・険悪な場合に多く、以下のような状況が考えられます。

  • 別居や離婚で疎遠になった夫婦
  • 音信不通だった家族
  • 付き合いのなかった親戚などが孤独死や身寄りのないまま亡くなってしまった など

そのため、葬儀・埋葬費などの金銭的負担を負いたくないという感情が背景にあるようです。

しかしながら、収骨拒否ができるかどうかは自治体や火葬場によって異なります。収骨が義務づけられている自治体では、遺骨の引き取り拒否ができないので事前に確認しましょう。

収骨拒否できた場合は、火葬場が代わりに遺骨の処理(埋葬・供養)をすることになります。この場合でも、遺骨処分にかかる費用を安価ではありますが求められます。

まとめ

1.「遺骨」とは火葬後に残った骨のこと
2.遺骨の埋葬法には、「納骨」「自然葬」「自宅供養」がある
3.お墓の遺骨がいっぱいになってしまった場合は、古い遺骨を土に還すか粉骨をして一つにまとめよう
4.お墓の継承者がいない場合は「墓じまい」を検討しましょう
5.遺骨を引き取らない選択肢もある

遺骨はお墓に埋葬することは今でもメジャーな供養方法ですが、核家族化や少子化、孤独死の増加などでお墓を建てて供養・管理していくことが難しいケースも増えています。

散骨や樹木葬、自宅供養・手元供養を選ぶ人が増えているように、現代の暮らしに合った多様な供養方法が登場しています。家族や親族が、無理なく悔いなく供養できる方法を見つけましょう。

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未来のお思託編集部
散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。