遺骨をお守りにして大切な人といつも一緒にいよう
「大切な人といつも一緒にいたい」「そばにいてほしい」という気持ちは、その人と永遠に会えなくなっても変わらず、むしろ思いは深まるかもしれません。手元に残った遺骨をお守りにして、心の支えにしたいと思う人もいるでしょう。

この記事では、お守りにできる供養の方法、分骨や遺骨のメンテナンスについて紹介します。大切な人をより身近に感じられる供養ができるよう、準備していきましょう。

遺骨のお守りにはどんな種類がある?

お守りといえば、社寺でよく見かける「袋状のもの」を思い浮かべる人が多いでしょう。

袋状にしたお守りを持ち運ぶのはもちろんですが、今はアクセサリー型のお守りもあります。それでは、「直接身に着けるタイプ」と「持ち運べるタイプ」の2つを紹介しましょう。

ペンダントや指輪などのアクセサリータイプ

肌身離さず身に着けられるアクセサリーは、「そばにいてほしい」という願いを叶えるお守りになるでしょう。

遺骨を収納するペンダントトップやチャームを自分で手作りしたり、既に愛用しているロケットペンダントに入れたりして、身に着けるとよいですね。

心配なのは遺骨がこぼれてしまったり、うまく入らず遺骨が壊れてしまったりすることです。チャームに遺骨を収納できるパーツがついた、供養専用のアクセサリーが販売されているので、それらを利用するのもよいでしょう。

供養グッズだと気づかれないデザインが主流で、きっと好みのものが見つかるでしょう。

価格は、取り扱っている業者や素材によって大きく異なります。

袋やケースに入れて持ち運ぶタイプ
遺骨を携帯するとき、何にしまっておけばよいでしょうか?
遺骨は必ず骨壺に納めておかなければならないという決まりはありません。供養の気持ちがあれば、持ち運ぶ方法は自由です。

手元にある遺骨をいつも持ち歩く手段としては、お守り袋やお気に入りのケース、小瓶など何に入れてもよいでしょう。落としたり紛失したりしないように注意し、また遺骨は湿気に弱いため、カビが生えないよう気をつけましょう。

遺骨そのものを加工したジュエリー

アクセサリーのパーツに遺骨を入れるタイプを紹介しましたが、宝石そのものに遺骨を加工する方法もあります。

遺骨を鉱物と高温融解することで生み出される人工宝石として、アクセサリーや数珠などに加工されています。

ダイヤモンドやサファイア、真珠などの宝石を作ることができるのです。ダイヤモンドは、遺骨から炭素を抽出し、精製した黒鉛を結晶化させて作ります。

宝石への加工は特別感がありますが、価格が高額になります。

遺骨を安置してお守りにすることもできる

「遺骨をお守りにしたいけれど、持ち歩くのは心配」という人もいるでしょう。そのような場合には、家で家族を守ってもらうように遺骨を安置するお守りの方法はいかがでしょう?

遺骨を家に安置することは、法律に記載がないため違法ではありません。

専用のスペースを設ければ、いつでも合掌が可能な上、リラックスした気持ちで供養もできるでしょう。

最近は、インテリアにマッチするデザインの骨壺や仏壇、遺骨を加工したオブジェなどが用意されています。お部屋に合ったグッズを見つけてください!

遺骨をお守りにする方法は?

遺骨をお守りにする方法は?
遺骨をお守りにするには容量が多いので、一部はお守りに、残りは別の供養方法にするため「分骨」を行う人がほとんどです。

ごく少量を骨壺から分けるのであれば手続きは不要ですが、量が多い場合には手続きや書類が必要になります!そして、分骨を行う場面によって、書類の交付元が異なります。

納骨前の遺骨をお守りにしたい!

分骨は法律に明記されている行為なので、「分骨証明書」が必要です。

分骨証明書は数グラム程度の少量は不要ですが、それ以上の場合は、分骨扱いになるため必要となっています。明確な数字が不明なので、書類の交付元で確認することをおすすめします。

「分骨」の手続きは必要?タイムリミットは?

分骨は、「墓地、埋葬に関する法律」に明記されています。

施行規則第5条に「墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、またはその収蔵を委託しようとする者の請求があったときは、その焼骨の埋蔵または収蔵の事実を証する書類をこれに交付しなければならない」とあり、分骨証明書の発行に関する規定となっています。

分骨証明書とは?
分骨元と納骨先でやり取りをする書類であり、分けた遺骨の身分証明になります。

火葬直後、焼骨を拾い上げる際に分けてしまう場合は、火葬場で分骨証明書を発行してもらいます。1つの骨壺に納めた後に「分骨」する場合も火葬場に発行を依頼しますが、火葬時のみ発行している自治体もあるので確認が必要です。

納骨予定日までに分骨証明書の準備を済ませておきましょう。

お守りにする分を除いた遺骨はどうする?

お守りにする分を除いた遺骨には、居場所が必要です。これから紹介する方法を組み合わせて供養することができます。親族や関係者とよく相談して決めましょう。

それぞれのケースでの手続きや必要書類が異なりますので、注意してください。

従来通りにお墓に埋葬する

従来通りにお墓に埋葬する
まず、従来と同じ先祖代々のお墓に埋葬する方法があります。もちろん、新しいお墓を建てて供養してもよいでしょう。

お墓を新調する場合は、場所を含め、費用を誰がどのくらい負担するのか、親族で話し合うことをおすすめします。

納骨堂や樹木葬などの永代供養墓もおすすめ

納骨堂や樹木葬などの永代供養墓もおすすめ
次に、永代供養墓に納骨する方法です。

永代供養墓では、施設の管理者が自分や親族に代わって永代に遺骨を供養してくれます。自分が亡くなった後でも、供養を継続して行ってもらえるという安心感が大きなメリットです。

永代供養墓は多種多様で、立地や仕組みが施設によって大きく異なります。

頻繁にお参りしたい人には、アクセスのよい場所の永代供養墓がおすすめです。自分や親族の希望に合う施設を、時間をかけて探しましょう。

以下の3つが代表的な種類です。

  • 納骨堂:納骨用スペースを契約するタイプで、屋内施設が中心
  • 合祀墓:モニュメントやシンボルの元に、遺骨を合同で供養するタイプ
  • 樹木葬: 樹木を墓標とするお墓で、永代供養が約束されている場合が多い
散骨してお墓を持たない選択もできる

散骨してお墓を持たない選択もできる
「遺骨をお守りにして手元に置き、お墓は持ちたくない」という人や、「故人の希望でお墓に納骨することをためらっている」というケースもあるでしょう。その場合には、遺骨をまいて自然に還す葬送「散骨」がおすすめです。

お守りにする分量以外の遺骨を散骨すれば、納骨する遺骨がないためお墓を持たずにいられます。

しかし、お墓を持たないことや散骨そのものに、抵抗がある人もいるかもしれません。そのような場合は、お守り用の遺骨のほか、散骨用と納骨用の3つに分骨するとよいでしょう。

また、マナー上、遺骨をパウダー状にする粉骨をしてから散骨をすることが条件となっています。以下、散骨の種類と内容を簡単に紹介します。

  • 海洋散骨(海洋葬):海洋に船上から散骨します
  • 山散骨(陸散骨):散骨を許可された専用の土地であれば、陸地でも散骨が可能です
  • 空中葬:ヘリコプターやセスナ機から、海洋上空に向けて遺骨をまきます
  • 宇宙葬:バルーンやロケットに遺骨を乗せて打ち上げ、地球の成層圏外に飛ばします

お墓にある遺骨をお守りにしたい!

お墓にある遺骨をお守りにしたい!
お守りにするために、埋葬済みの遺骨を取り出すことはできますが、手順や手続きなどに注意が必要です。

お墓から遺骨を取り出すのは違法?

お守りにするためにお墓から遺骨を取り出す行為は、違法ではありません。ただし、勝手にお墓を開けることは罪に問われます。

犯罪になる事項や刑罰について規定している、刑法の第189条では「墳墓を発掘した者は、二年以下の懲役に処する」とあります。

お墓の相続権利を持つ祭祀継承者や、お墓そのものを管理している寺院あるいは霊園の許可なくお墓を開けてはならないのです。

また、同法第191条に「第百八十九条の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪または棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、または領得した者は、三月以上五年以下の懲役に処する」と記載があります。

許可なくお墓から取り出した遺骨を勝手に砕いてお守りにしたら、大きなトラブルになることがありますので、親族やお墓の管理者から必ず承諾を得てください。

遺骨を取り出す手順を知って準備しよう

お墓から遺骨を取り出すには、お墓を管理している寺院や霊園に相談します。墓石を自力で動かすこともできますが、難しい場合は石材店に依頼しましょう。

寺院や霊園によっては、石材店の指定業者が存在することがありますので確認してください。

また、仏式のお墓から遺骨を取り出す際には法要が必要になります。はじめに閉眼供養を行い、先祖に対してお墓を開けることを報告し、お墓に宿る魂を抜いてから作業します。遺骨を分け終えたら、今度は開眼供養を行い、お墓を閉めて完了です。

石材店へ支払う作業費のほかに、法要を担当してくれた僧侶へのお布施が必要になります。

墓じまいもするなら行政手続きが必要な場合もある

今あるお墓を閉じ、別の供養方法に変えることを「墓じまい」と呼びます。

生活スタイルが昔と大きく変化し、先祖代々のお墓を管理継承していくことが難しい現代では、お墓に関する悩みを抱える家族が少なくありません。墓じまいを検討し、遺骨の一部をお守りとして手元に置いておくことを考えている人もいるでしょう。

墓じまいでは、お墓から取り出した遺骨の次の行き先によって、行政手続きが必要かどうか決まります。

別のお墓へ納骨する、または永代供養墓と契約する場合は「改葬」に該当し、法律で定められている行政手続きが必要です!今の墓地の所在地を管轄する役所が交付する「改葬許可証」を取得しましょう。

散骨や全ての遺骨を自宅で安置する手元供養は、行政手続きの必要はありませんが、念のため、役所に確認することをおすすめします。

火葬した遺骨をそのまま身につけても大丈夫?

火葬した遺骨をそのまま身につけても大丈夫?
遺骨をお守りにするために、骨壺の中にある遺骨を取り出します。

自分で作業をする場合、直接触ってもいいのでしょうか?また、お守りにするからといって、そのまま身に着けていても大丈夫なのでしょうか?

遺骨の主成分は「リン酸カルシウム」です。火葬を経ることで、少量の炭素と重金属が含まれた焼骨になります。

重金属とは、元々人体に存在した成分と火葬炉から放出された付着物です。まれに「六価クロム」が含まれている恐れがあります。

六価クロムとは?
強い酸化作用があり、皮膚の炎症やがんを発症させる発がん性の有害物質です。

常温で気化しないので、保管している容器から漏れることはなく心配ありません。もちろん、量的に遺骨に直接触れても問題ありませんが、念のため、遺骨を取り扱う際は手袋をするようにしましょう。

粉骨のメリットとデメリット

粉骨のメリットとデメリット
遺骨が入っている骨壺は意外と大きく、関東では直径約21.5cm、関西は直径約6cmから約15.5cmです。自宅でお守りとして安置するには大きいかもしれません。

そのような場合は、遺骨をパウダー状に粉骨をして容量を小さくするとよいでしょう。それでは、粉骨するメリットとデメリットを知っておきましょう。

メリット
  • 容積が小さくなり保管しやすく、供養できる方法の選択肢が広がる
  • パウダー状のため「分骨」しやすい
  • 散骨することができる
デメリット
  • 元に戻すことができない
  • 形状上、消失しやすい
  • 粉骨を精神的に受け付けられない親族や関係者がいるかもしれない
どうやって粉骨する?自分でもできる?

どうやって粉骨する?自分でもできる?
遺骨を粉砕するには特殊な専門の道具や機械の必要はなく、自力で作業を行えます。では、粉骨の方法と手順を順番に確認しましょう。

1:洗浄
埋葬してあった遺骨や火葬から時間が経っている遺骨は、洗浄する必要があります。土や泥、カビなどの汚れを落としますが、洗浄中に有害な物質に触れないよう対策が必要です。

2:乾燥
湿気があるとパウダー状にしにくい上、カビが生えやすくなるため、徹底的に乾燥させます。

3:破砕
セラミック状の焼骨は、硬く大きい部分以外であれば、素手でも粉砕可能です。しかし、自力で行うには、粒子の細かい粉状にまで破砕することは難しいでしょう。

また、「故人の遺骨を砕いている」という意識の元で作業をするには、精神的に大変です。粉骨の専門業者に相談することをおすすめします。

まとめ

1.遺骨をお守りにする方法は、お守り袋やアクセサリーで携帯したり、遺骨を元に精製した宝石を身に着けたり、遺骨を自宅に安置したり、種類が豊富にある
2.遺骨の一部を利用してお守りにする場合、遺骨の現在の状況によって『分骨証明書』の取得先が変わるため、確認が必要である
3.遺骨をお守りにするために、洗浄や粉骨など遺骨のメンテナンスを行う

遺骨をお守りにする選択は「大切な人に身近で見守ってもらいたい」「お墓が遠方にあるので遺骨を近くに置いておきたい」という供養の気持ちの表れです。

ひとりで決めず、親族や関係者ときちんと相談して皆が納得できる、よりよい供養の方法を選んでください。

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未来のお思託編集部
散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。