近年、希望される方が増えている散骨ですが、そのやり方にはどのようなものがあるのでしょうか?

散骨は、個人で行うやり方もありますし、慣れている専門業者に依頼するやり方もあります。様々な種類とやり方についてまとめました。

散骨したい人が増えた背景

自分が亡くなった後、どのような供養を望みますか?

少し前までは、お墓に入るのが当たり前でした。家を買ったら次はお墓というように、お墓を持つことが人生設計の一部になっている時代がありました。最近では自然葬というやり方が浸透し始めて、海や山などへの散骨を望む方が増えています。

日本では古くから、土に還る、自然に還るという考え方があったので、この発想は自然な流れかもしれませんね。では、なぜ今になって散骨という方法を選ぶ人が増えているのでしょうか?

まず、お墓を建てる費用が高額であるということが大きいでしょう。また、核家族化により単身世帯が増え、お墓の維持や継承が難しくなってきたことが背景にあると考えられます。

散骨を考え始めたらやること

散骨を考え始めたらやること
散骨を検討し始めたら、まずは情報収集をしましょう。情報収集は、インターネットや本などで調べたり、業者に問い合わせてみたりすることをおすすめします。

ありがたいことに近年は終活の本も多数出版されていますし、インターネットの普及で情報は手に入りやすくなりました。専門業者のサービスや価格も比較でき、体験談なども掲載されていますので検索してみるとよいでしょう。

散骨というやり方が自分が望む供養であるか、しっかり検討をしてみてください。近しい人、または自分の将来の希望通りの葬儀や埋葬を行うためには、家族や親族へ事前の意思表示をし、理解をしてもう必要があります。

そのためにも、最後の終い方として散骨というやり方を選ぶのであれば、しっかりとしたビジョンを持つことが大事です。

散骨のメリットとデメリット

散骨のメリットとデメリット
散骨をする場合のメリットは、やはりお墓を持たず自然に還りたいという本人の意思を尊重できるということでしょう。そしてお墓を継承する人を必要としないことです。

散骨というやり方を選択することで、亡くなった後の維持費や管理のための雑事を子供に残したくないという方や継承者がいない方にとって大きなメリットになります。更にお墓を持つより安価ですみますので経済的です。

デメリットとしては、すべての遺骨を散骨してしまうと、お参りする対象がなくなってしまうことです。また、散骨というやり方は違法ではありませんが確実に合法とまではいい切れず、増えてはいますがまだ少数派ですので、何らかのトラブルが生じないとは限りません。

散骨のやり方

散骨は個人ですべてのことを行うことができますし、専門業者のサービスから選ぶこともできます。散骨の方法は、大きく分けて4種類あります。

  • 海への散骨
  • 山林への散骨
  • 空への散骨
  • 宇宙への散骨

というものです。さらに、日本を離れ、好きな国で散骨してほしいという方のために、海外で散骨をするやり方もあります。

選択肢は増えつつありますので、希望に叶った散骨のやり方を検討しましょう。

自分で散骨する場合

散骨を規制し、やり方を決めた法律はありません。そのため、散骨をする場合に、国や行政機関への届け出は特に必要ないのです。

しかし、一部の自治体では、自治体内での散骨を認めていないところもありますので、散骨をしたい場所がしぼれてきたら、該当の自治体に確認するとよいでしょう。また、散骨は埋葬ではないので埋葬許可証は必要ありませんが、散骨場所まで遺骨を運ぶ際、故人との関係を第三者に説明しやすいので、埋葬許可証を用意しておくと安心です。

自分で手配し海へ散骨

散骨は他人の私有地や河川などの水源では行えませんし、海へ散骨する場合でも、漁業権や観光資源への配慮が必要なため、遠洋に出ることがほとんどです。また、遺骨は粉骨する必要があり、決まりはありませんが1辺を2mm以下に粉砕すると後から問題にはならないでしょう。

粉骨は自分でもできますが、肉体的にも精神的にも大変な作業となることが予想されます。粉骨作業は専門業者に任せ、無理なく自由に散骨する流れをおすすめします。

故人をしのびつつ散骨トラベル

故人をしのびながら思い出の地を巡りつつ、少しずつ散骨するやり方もあります。故人にとっても、残されたものにとっても、思い出深い場所を旅行する散骨トラベルです。

数カ月かけて旅を楽しみながらゆっくりと行う方が多いようで、セレモニーの要素は薄れますが、故人と遺族との思い出旅行は素敵なアイデアですね。ただし、散骨をする際の考え方や注意事項は変わりませんので、散骨場所の選定などは節度を持ってするようにしてください。

散骨業者のサービスから選ぶ場合

散骨は、個人で手配することもできますが、何かと手間がかかります。専門業者に頼めば、例えば海洋散骨の場合、粉骨から船のチャーターに献花などの手配もしてくれますので、任せてみてもよいでしょう。

最近は専門業者も増え、インターネットなどで検索すると検索結果にかなりの専門業者名が出てきます。サービスの質も向上し、バリエーションやオプションも豊富で独自性を求めることも可能です。

何よりお別れの時間をゆっくり過ごせます。

海へ散骨するやり方

海へ散骨するやり方
海への散骨を希望する場合は、大きく分けて3種類のやり方があります。1家族だけで船をチャーターするやり方と、複数の家族が合同で船を利用するやり方、専門業者にすべて委託するやり方です。

1つずつご説明します。

1.家族のみで船で散骨

まずは、船を1隻貸し切りで行う「海洋散骨」のやり方を紹介します。

1隻をチャーターするため、好きな日時に出航できますし、気の置けない方たちと心行くまでお別れができます。献花や散骨中の写真撮影などを含み、定員24名で25~30万円(税別)程の料金で、粉骨は別途3万円(税別)必要です。

オプションで生花の祭壇を作り、船上会食もできますし、北海道から沖縄まで全国の海域から散骨場所を選べますので、故人が好きだった海を選び、オリジナリティーのある散骨のやり方を考えていけます。経験が豊富なコーディネーターがセレモニーを進行してくれるため安心してやりたいことにチャレンジできそうです。

2.家族以上複数で合同散骨

2家族以上の複数の家族で乗船する合同散骨というやり方もあります。

複数の家族の乗り合いで行いますが、散骨の時は1組ずつ、お別れをする時間を作ってもらえます。少ない家族でひっそりと散骨するより、複数の家族で和やかに送り出すことができますし、船上での一期一会ですが、最期の時にも出会いがあるというのは素敵なことかもしれませんね。

献花や散骨中の写真撮影などは船を1隻チャーターした時と変わらないサービスで、2名で12万円(税別)からの料金設定、追加乗船は一人につき1万5千円(税別)程度、粉骨には別途3万円(税別)程度必要です。散骨エリアも日本全国から選べますし、お好みでオプションも利用できます。

業者へ委託して散骨

直接、あるいは郵送で遺骨を業者に預け、家族に代わって海へ散骨してもらう、代行委託散骨というやり方もあります。家族が遠方に住んでいたり入院中であったりなど、事情は様々ですが、家族が散骨できなくても、代行委託であれば故人の遺志を実現することができます。

また、献花や写真撮影もしてもらえます。料金は2万円代~6万円代まであり、散骨の場所や船の大きさ、立会い粉骨ができるかによって幅があります。

散骨ポイントは東京湾をはじめ、玄海灘や伊勢湾などもあり、船が苦手で乗船できない場合は出航地や羽田空港展望デッキからお見送りができるサービスを提供している業者もあるので安心です。

ご紹介した海への散骨のやり方以外にも多数の方法があります。散骨会社は多数ありますので、自分に合った業者を選ぶことが大事です。

山林へ散骨するやり方

山林へ散骨するやり方
海は苦手、好きな山への散骨を希望する方もいらっしゃるでしょう。山林散骨というやり方は、散骨できる場所への制約が大きく、個人で行うのが難しいやり方です。

専門業者に依頼するやり方を2つご紹介します。

1.現地へ同行して散骨

山林散骨は、自分の土地か、所有者から許可をもらった土地でしか行えません。更に近隣住民に迷惑がかかる場所では散骨はできないですから、山奥に自分の土地を持っていないと個人で散骨するのは難しいところです。

その点、山林散骨の専門業者であれば、条件が合致した土地を用意していますから、専門業者に依頼するのがよいようです。遺族が指定の場所へ行って散骨する場合の費用は10万円(税別)前後で、粉骨費用は別途必要です。

海洋散骨と違って条件が厳しいせいか、山林散骨の業者の数は少なく、業者を探すのも大変ですし、遺族が同行するプランは少なく、業者に遺骨を預けて散骨してもらうことが多いようです。

2.業者へ委託して散骨

山林散骨のやり方のほとんどは、専門業者に遺骨を郵送して粉骨してもらい、山林にまいてもらうやり方です。

費用は5万円(税別)前後で粉骨費用は別途必要ですが、高齢の遺族が遠方の山まで足を運ぶことを考えると、現実的なやり方かもしれません。比較的安価にでき、何より故人が望むやり方で供養することを考えると、すべて専門業者に任せるというのもよい方法かもしれません。

ただ自分で散骨へ行けない分、寂しさも募るものです。そんな場合は、遺骨を少し残して身近に置いておくこともできます。

遺骨の一部を小さな骨壺に入れて自宅で安置するのがポピュラーですが、ペンダントに加工して常に身に着けている方もいらっしゃいます。

空へ散骨するやり方

空へ散骨するやり方
ヘリコプターや飛行機をチャーターして、空から海へ散骨するやり方があります。

個人でチャーターすることもできなくはありませんが、フライト計画など素人には分かりづらいことも多く、専門業者に依頼するほうが、かえって故人の希望を叶える近道かもしれません。知らない空から知らない海へ散骨されるのでなく、故郷や自宅の上を旋回して慣れ親しんだ場所にお別れをして海へ還るプランもあります。

1家族4名で、所要時間1時間、47万円(税別)程度のプランもあり、粉骨は別途3万円(税別)必要です。企画費用やチャーター費、献花や写真撮影などの費用も含まれていますので、決して高くはないといえるでしょう。

宇宙へ散骨するやり方

宇宙へ散骨するやり方
まだあまり耳馴染みがありませんが、宇宙へ散骨するやり方もあります。

亡くなった後に星になる、このやり方は、専門業者自体も少なく、勿論個人でひっそりとは行えません。

  • 人工衛星プラン
  • 宇宙飛行プラン
  • 宇宙探検プラン
  • 月旅行プラン

というプラン名を聞いただけで夢のようです。

生前叶えられなかった宇宙旅行の夢を亡くなった後、実現できるというのも魅力的です。人工衛星プランは、ロケットで成層圏を抜け、衛星の軌道を最長240年もの間、周回します。

費用は、95万円(税別)程から遺骨の重さによって料金が異なります。

衛星の位置を随時確認できますので、星空を見ながら故人をしのぶこともできるというものです。

海外へ散骨するやり方

海外へ散骨するやり方
海外で散骨するやり方は、2種類あります。

  • 自分で海外まで遺骨を持っていく方法
  • 海外で散骨を代行してくれる業者に依頼する方法

遺言で遺志を伝えられても遺族は困惑するでしょうから、生前に業者を探し、依頼しておくことをおすすめします。火葬が一般的でない国も多いですから、散骨について法律で定めている国は少ないと思われますが、条例などを定めている場合はありますので調べる必要があります。

旅行のオプショナルツアーで申し込むことがほとんどのようで費用は15万円位からですが、旅行費用は含まれていません。GPSで散骨場所を確認し、後日、遺族も同じ場所に散骨することができるプランもあるようです。

散骨後に故人をしのぶやり方

散骨した海で故人をしのびたいという要望に応えて、クルーザーを貸し切り、散骨ポイントまでお参りに向かうサービスがあります。

水に溶ける紙を使用した便箋や折り紙、オリジナルリーフレットを用意し、故人への手紙を海へ流すことができるサービスもあります。一般的な法要のように出席者の方へ引き出物も用意でき、献酒や献花など、セレモニーとしても十分に納得できるやり方です。

費用は1~2時間20万円前後(税抜)など、地域やご要望により様々です。海洋散骨と同様に、合同法要クルーズもあり、1名1万円(税別)程度とリーズナブルですし、お墓と同様に、命日やお盆など年に何回もお参りしたい場合などにおすすめです。

まとめ

1.散骨というやり方は維持費もかからず継承する必要がない。
2.情報収集して納得できるやり方を選ぶ。
3.個人散骨は自由度は高いが場所選びなど困難を覚悟したほうがよい。
4.海洋散骨の人気が高く希望に添ったサービスを選べる。
5.専門業者も増え、様々な場所への散骨や、やり方が考えられている。

専門業者も増えやり方も多種多様です。最期をどのような形で締めくくるか、じっくり腰を据えて検討することをおすすめします。

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未来のお思託編集部
散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。