墓じまいと散骨を行うといくらかかるのか事前に調べておきましょう!

墓じまいをし、手元に残った遺骨を散骨して供養する場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか?

墓じまいは墓石の撤去だけではなく、行政手続が必要だったり、お墓から取り出した遺骨の供養先を探したり、さまざまな場面で費用が発生します。

この記事では、墓じまいの流れと、遺骨を散骨して供養することを選んだ場合の費用相場を紹介していきます。墓じまいを納得して行えるように、散骨の方法や費用についても知っておきましょう。

墓じまいにはいくらかかる?

墓じまいを進めていく上で発生する可能性がある費用について、墓じまいの流れと合わせて相場を紹介していきます。

仏教寺院の敷地内にある一般的なお墓を中心に見ていきましょう。

墓じまいと散骨をお墓の管理者に伝えよう

墓じまいと散骨をお墓の管理者に伝えよう
墓じまいの最初の作業にして最も大切なことが「墓じまいの意思を伝える」ことです。

伝える相手は、今あるお墓の管理者と、お墓に関わる親族です。お墓の管理者や契約している霊園に対しては、今後の流れや費用、申請について確認する必要があります。

墓じまいを進めるということは、今ある見慣れたお墓そのものをなくしてしまうことです。精神的な準備期間を取れるよう、家族や親族には時間をかけて相談しましょう。

寺院にお墓がある場合はお布施や離檀料が必要

寺院にお墓がある場合はお布施や離檀料が必要
寺院にお墓がある場合は、多くが菩提寺と檀家の関係に該当します。墓じまいを行い、寺院と関係のない場所へ遺骨を移動させることは、菩提寺の檀家をやめ、離檀することと同義です。

離檀料はいくらぐらいでしょうか?
離檀料が発生する場合、10万円から50万円程度を提示されることが多いようです。また、お墓から遺骨を取り出す際に行う閉眼供養には、3万円から5万円程度のお布施をお渡しします。
今まで管理してもらっていた感謝の気持ちを忘れずに臨みましょう。
墓じまいの行政手続をすすめよう

墓じまいの行政手続をすすめよう
墓じまいは、遺骨を取り出して新たな供養先に移す行為です。遺骨の次の居場所が、永代供養墓などの新しいお墓である場合は「改葬」に該当します。

お墓の引っ越しである改葬には「改葬許可証」が必要です。東京都保健福祉局のウェブページによると「他のお墓や納骨堂などに遺骨を移す場合は、区市町村による改葬許可が必要となります」とあります。

改葬許可証の取得方法とは?
今のお墓の管理者に「遺骨引き渡し証明書」など埋葬の証明書類を発行してもらう必要があります。埋葬の証明書類発行の際は、手数料がかかるかもしれません。

※散骨は、改葬ではありませんが、業者によっては「改葬許可証」の提出を求められることがあります。

墓地を更地にして管理者に返還する

墓じまいでは、今まで使用していたお墓は重機を入れて更地に戻し、墓地の管理者に返還します。

費用について
  • 遺骨の取り出しにおよそ2万円から3万円
  • 墓石の撤去に15万円から50万円
    ※お墓によって金額が変わります。

工事は石材店に依頼しますが、お墓の管理者によっては担当する業者の指定があるかもしれませんので、確認しておきましょう。

仏教寺院の場合、お墓に宿っている魂を抜き取るための法要(閉眼供養)をします。お経をあげ、今まで供養してくれた寺院に対し、お布施を渡します。

石材店が工事に入りますが、山の中にあったり、一族のお墓で量が多かったり、特別な対応をしなければならない場合は、追加で費用がかかるでしょう。

お墓から取り出した遺骨はメンテナンスが必要な場合がある

お墓から取り出した遺骨はメンテナンスが必要な場合がある
お墓から取り出した遺骨は、そのままでは次の居場所に持っていけない可能性があります。

長年の土や泥などの汚れや湿気でカビの付着が考えられますし、骨壺内に水が溜まってビシャビシャになっているものもあるでしょう。自宅で一時的にでも安置することを検討している場合は、本格的な洗浄がおすすめです。

遺骨をパウダー状に加工する粉骨を専門とする業者の中には、遺骨の洗浄だけでも受け付けている場合があります。

また、古いお墓を調べれば、土葬されたままの遺骨(土葬骨)があるかもしれません。土葬骨には、バクテリアがいることも考えられます。さらに土葬骨は、改葬する際に火葬をする必要があり、洗浄のみでは納骨できないことを認識しておきましょう。

散骨を行うには遺骨をパウダー状にする粉骨が必要

散骨を行うには遺骨をパウダー状にする粉骨が必要
お墓や葬礼に関する法律に、刑法190条があります。

条文の中に「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、また領得した者は、3年以下の懲役に処する」とあり、遺骨遺棄罪や遺骨損壊罪と呼ばれています。そのままの形の遺骨をまくと(というより落とす感じになってしまいますが)遺骨遺棄罪に問われてしまうかもしれません。

パウダー状にすれば、きれいに散布できる上に遺棄には見えにくいことから、散骨時には粉骨する必要があるのです。

遺骨を「損壊」しても違法になってしまいますが、刑法190条は「死者に対する社会的習俗としての宗教的感情」を保護するためにあり、「粉骨は供養や散骨のために遺骨の形を変えている」という意識であれば問題はありません。

粉骨は散骨のマナー上においても、必要なことです。散骨には明文化された規定がなく、節度を守れば自由に行える葬礼です。自由ではありますが、節度・マナーを守る必要があります。

遺骨を自然に溶け込みやすい形にして散骨した場所に影響しにくいパウダー状にすることは、散骨をする当事者だけではなく、周囲の人々や環境のことを考えた節度ある葬送にするための行為なのです。

粉骨は自分で行えば無料で済む

粉骨は自分でもできます。特別な道具は必要なく、家庭にある手に入りやすい「すり鉢」や「乳鉢」で代用可能です。

先祖の遺骨を自分の手で粉骨することは供養ともいえますが、精神的に辛く感じてしまうかもしれません。また、焼骨は大きく硬い部分があり、自力でパウダー状にするのは困難です。

粉状にしなければ、散骨時にボトボトと落ちてしまい、散布はできません。

粉骨業者に依頼してサラサラのパウダーにしよう

粉骨業者に依頼してサラサラのパウダーにしよう
粉骨は専門業者に依頼すれば、きれいなパウダー状にまで粉砕してもらうことができます。インターネット上で検索すると多くの粉骨業者がいます。

粉骨業者は、以下のポイントに気を付けて選びましょう。

他者と比べて安さばかりをアピールしていませんか?
粉骨に立ち合えますか?
遺骨の受け渡しは直接できますか?
粉骨の費用は?
1万円を切るものから4万円程まで、さまざまです。前述したように、安すぎる料金設定には要注意です。

散骨はいくらかかる?気になる種類と費用相場

散骨は遺骨をまく場所によって種類が分けられ、費用は使用する乗り物や設備によって異なります。

散骨業者によっても金額に差が生まれ、サービス料以外にオプション費用を求められることがあるため、事前の見積と打ち合わせが大切です。

海洋散骨(海洋葬)

海洋散骨(海洋葬)
散骨専用の船に乗り、沖合にて散骨を行います。船を利用するため、乗船する人数や種類によって費用は変わります。

  • 1家族のみで貸切乗船 (例)25万円~
  • 散骨業者の運航する便に乗り合わせる (例)12万円~
  • 乗船せず、業者に代行してもらう (例)5万円~

自分で沖合まで行って散骨することもできますが、行政や漁業関係とのトラブルを避けるため、専門業者の利用をおすすめします。

山散骨(山間散骨)

山散骨(山間散骨)
陸地でも散骨を行うことができ、業者や寺院が所有する専用の土地や自分の私有地で行います。私有地で散骨を行えば、料金はかかりません。

  • 寺院所有の専用区域 (例)20万円~
  • 島根県カズラ島(散骨専用島) (例)18万円~
  • 業者による代行散骨 (例)5万円~
  • 自分の私有地 (例)0円
宇宙葬・空中葬

宇宙葬・空中葬
風船やロケットに遺骨を乗せて宇宙を目指す宇宙葬や、海洋の上空から散骨する空中葬もあります。

  • 風船を利用 (例)24万円~
  • 月に向かってロケットを発射 (例)250万円~
  • セスナ機から海洋上空にて散骨 (例)20万円~
自力で散骨すれば費用はかからない

自力で散骨を行う場合、費用はかからずに済みますが、ただ遺骨をまけばよいわけではありません。

散骨した場所は他の用途に利用が難しくなってしまいますし、自治体によっては、私有地であっても散骨を禁止する条例を制定しています。散骨は決まりがない自由な葬送ではありますが、最低限のマナーを守らなければ違法になってしまうかもしれないのです。

私有地にまく場合でも、専門業者に相談してみることをおすすめします。

全ての遺骨を散骨せずに手元供養したらいくらかかる?

「散骨をすると、遺骨がなくなってしまって淋しいかもしれない」という心配や、「お墓がない上に、散骨で遺骨を全て失ってしまったら、どこに手を合わせればいいの?」という不安はありませんか?

散骨は決まりがなく、遺骨をまく量も自由です。遺骨を少し手元に残しておくことができ、新たな心の拠り所として準備してもよいでしょう。

手元で供養をする場合、いったいいくらかかるでしょうか?

次項から紹介していきます。

瓶や自分が用意した入れ物なら無料

遺骨を自宅で埋葬しなければ、保管に問題はありません。

散骨時に少し取っておいた遺骨であれば、粉骨してあるため容積はとても小さく、小瓶や袋に納めておくこともできます。自分のお気に入りの容器であれば、料金は発生しません。

身に着けたり家に安置したり幅広い手元供養の方法

身に着けたり家に安置したり幅広い手元供養の方法
散骨時に手元に取っておいたパウダー状の遺骨は、さまざまな形で供養をすることができます。

自宅で安置しやすい小さめの骨壺やおしゃれな容器に入れて、仏壇のような合掌スペースを設けると、お墓参りが自宅でできる感覚で、お墓がない淋しさは解消されるでしょう。現代のお部屋になじむデザインの仏具や専用棚も販売されています。

また、先祖や故人といつでも一緒にいたいという思いから生まれた、遺骨を収納するパーツがあるアクセサリーやジュエリーがあります。デザインも豊富で気軽に着用でき、供養のためのグッズとは感じさせない印象です。遺骨から抽出した成分で作られるダイヤモンドなどの宝石もあります。

以下に手元供養品の参考価格を挙げます。

  • ミニサイズ骨壺 2万円~
  • A4サイズ仏壇 5万5千円~
  • 遺骨収納用パーツ付きペンダント 2万円~
  • 遺骨から精製したダイヤモンド0.25カラット本体 39万円~

墓じまいと散骨は相談する業者でいくらかかるか変わる

墓じまいと散骨に関わる費用について紹介してきましたが、決まりはなく値段は業者によって差があるのが現状です。「墓じまい」や「散骨」で検索すると、事業を行っている業者は多数あります。

誰に相談すればよいのでしょうか?

墓じまいを相談する相手と費用相場

墓じまいについてまず一番初めに相談しなければならないのは、今あるお墓を管理している菩提寺や霊園です。

しかしながら、菩提寺や石材店、新しい納骨先や散骨業者と連絡を取り合い、さらに親族たちのフォローもしなければならず、自力で全てを進めるのはとても大変かもしれません。煩雑になり納得できない形で墓じまいを終えるより、代行料金や手数料がかかってしまいますが、業者に依頼することをおすすめします。

以下に費用の一例を挙げます。

  • 行政書士の墓じまい代行 6万3千円~
  • 葬儀店の墓じまい代行 19万8千円~
  • 散骨業者の墓じまいサポート 6万円~
    ※含まれるサポート内容は同じではありません。
散骨業者を見極めるポイントとは?

散骨業者を見極めるポイントとは?
墓じまいと散骨は別々の業者に依頼する場合が多いですが、大手葬儀社から専門業者まで、散骨を扱う業者はインターネット上に濫立しています。

先祖の遺骨を任せられる業者を見極めるには、次に挙げる2つのポイントを抑えて探しましょう。

丁寧に応対し、葬送を大切にしているかどうか。
電話で問い合わせた時、安さばかりを強調されませんか?
メールでの問い合わせに、すぐ返信してくれますか?
こちらのニーズに見合った葬送を提案してくれますか?
ルールやマナーを順守しているか。
節度ある散骨を行っていますか?
マスコミへの露出はありますか?

自分たちに合う業者が見つかるまで、あきらめずに探してみましょう。

まとめ

1.墓じまいから散骨までかかる金額は、散骨の種類だけではなく、お墓の規模、所属する霊園や寺院によっても大きな差がある
2.墓石の撤去と整地費用、散骨実施代の料金以外に費用支払いが発生する可能性があるのは、墓じまいの相談料、お布施、離檀料、遺骨のメンテナンス料金、粉骨費用、手元供養のための設備費や加工料金など
3.墓じまいの相談を受け付けている業者、粉骨業者、散骨業者など多くの専門業者が濫立しており、依頼する業者を選定する際は、値段の安さを売りにしている業者に注意する

墓じまいや散骨は、先祖や未来の家族に対する思いやりの心から行うものです。素晴らしい葬送になるよう、情報を集めて準備を慎重に進めましょう。

著者情報

著者情報
未来のお思託編集部
散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。