故人の希望により散骨を決めたものの、散骨の時期について悩んではいませんか?
- 一般的な納骨の時期と同じ四十九日?
- 一周忌や三回忌の法要のとき?
- もっと適切な時期があるの?
答えはどれも「正解」です。
なぜなら散骨はこの時期に行わなければならないという決まりがないからです。
今回は、散骨の時期について紹介します。また、春夏秋冬それぞれの季節に散骨する際の注意点なども紹介しているので併せて参考にしてください。
散骨する時期に決まりはありません
故人の遺志で散骨することを決めたものの、いつ行えばいいのか悩む方も多いのではないでしょうか?
遺書などで時期について触れていない限り、散骨はいつ行ってもかまいません。散骨すると寂しくなってしまうという気持ちから、故人の葬儀から10年以上経過して散骨するというケースもあるようです。
どうしても散骨にふみ切れないという方は「分骨」という方法を視野に入れてみてもよいでしょう。遺骨の一部は、両手に収まる大きさの「ミニ骨壺」や「ペンダント」のように携帯容器に納められるもの、「フォトフレームと共に納められるもの」などのグッズを使い、遺族の手元におくのもひとつの供養方法です。
手元供養であれば大きな仏壇を置く必要もなく、故人の好きな花や好きな物と一緒に置いておくだけで十分供養となりますね。また、親族や友人など故人と親しかった方も訪問しやすくなるでしょう。
散骨の時期を決めたら、自分で散骨するか業者に依頼するかなどを決めなくてはなりません。散骨可能な場所やモラルなど難しいことが多いので、自分で散骨するより実績のある業者に相談することをおすすめします。
故人が生前予約している場合もあるので、遺書や書類などよく確認するとよいでしょう。
散骨の時期を決めていなくても、必ず散骨すると決めている場合には、先に「粉骨」をしておくという方法があります。散骨を行う際は、モラルの一つとして遺骨を粉骨し、パウダー状にしておく必要があります。
粉骨は遺族の手で行うこともできますが、その労力を考えると業者に依頼することをおすすめします。粉骨を行っている業者には、立ち会いが可能な業者とそうでない業者があるので、立ち会いを希望する場合は、事前に業者に確認をとります。
また、粉骨後に散骨する予定であると伝えれば、水溶性の紙に包んでくれることが殆どです。分骨し手元供養を行う場合は、その旨を伝え、手元供養品に納められるようにしてもらうとよいでしょう。
粉骨を行っておけば、いつでも散骨を行うことができます。
散骨や粉骨を行う時期について決まりはありませんが、一般的には四十九日で行う方が多いようです。仏教では、四十九日が故人が極楽浄土へ行けるかどうか決まる日とされていることから、よいタイミングといえます。
中には、分骨し納骨も散骨も行いたいと考える方もいらっしゃることでしょう。その場合、納骨は四十九日に、散骨は後日行うという方法があります。
納骨を行う場合、法要や寺院などへの移動、会食などで半日程度かかる場合がありますので、物理的に、納骨と同日に散骨を行うのは避けたほうが賢明です。散骨は、時間にゆとりのある別の日に行うことをおすすめします。また、遺骨は散骨当日まで手元供養を行うとよいでしょう。
時期などについて迷った場合は、実績のある信頼できる業者に相談してみてください。故人の遺志や遺族の希望に寄り添った最適な時期などについてよいアドバイスをもらえるでしょう。
誕生日などの記念日や法要に合わせての散骨
「四十九日での散骨はまだ早いし、かといってどのくらい手元においておきたいかもわからない…。」「散骨するのによいタイミング、きっかけがない」と考える方もいるでしょう。
実際に次のようなタイミングで散骨を行うケースがあるようですので、参考にしてください。
- 一周忌や三回忌などの法要
- 故人の誕生日
- 故人と家族の記念日
また、上記のタイミングで数年に分けて散骨するケースも見受けられます。
一度に全て散骨してしまうと、寂しくなってしまうからゆっくりと時間をかけて故人とお別れしたいという方におすすめの方法です。この方法と決めたなら、粉骨を依頼する際に数年に分けて散骨することを業者に伝えましょう。希望する回数分に分けて、水溶性の用紙に遺骨を包んでくれるでしょう。
また、特に記念日ではなくても故人と落ち着いてお別れができる時期を選ぶのもよいでしょう。
いずれにしても、散骨後後悔のないように遺族で話し合うことが大切です。
直葬後の散骨は可能?
直葬という言葉を聞いたことはありますか?
まず、火葬場を予約したあとの流れは次の通りです。
- 遺体を火葬場や葬儀社または自宅の安置室に移動(法律上24時間以上経過しないと火葬は行えない)
- 翌日などに火葬炉の前で故人とお別れ(故人と親しい人が参列)
- 火葬(控室で待機)
- 骨上げ
シンプルな直葬ですが、注意点が一つあります。それは「祭祀継承者」を親族間で確認しておくことです。
直葬のあと、散骨を行うことは可能で、直葬散骨を請け負っている業者があります。直葬の後の直葬散骨の流れは次の通りです。
- 遺骨の預かり
- 粉骨
- 散骨
遺族の方の中には早々に散骨したくないと考えるいう方がいることもあります。
また、親族間で散骨について話し合いが必要な場合があるかもしれません。その場合は、直葬または粉骨(粉骨のみを請け負っている業者に依頼)を行っておき、時期が決まったら散骨を行うことをおすすめします。
分からないことや不安なことはどんな小さなことでも業者に相談し、後悔しないようにしましょう。
納骨後に散骨することはできる?
遺骨を納骨し、落ち着いたところで遺品整理していたら「散骨を希望」する遺書が出てくるということがあるようです。その場合、納骨したあとでも、散骨することは可能です。
しかし、散骨を行うには遺骨をお墓から出さなければなりません。散骨することを親族に伝えるだけでなく、墓地を管理している霊園や寺院などに散骨する旨を伝え、了承を得る必要があります。分骨し散骨する場合も同様です。
散骨を快く思わない親族がいて、話し合いが必要になるかもしれません。納骨後の散骨を個人で行うのは労力だけではなく、精神的にも負担が大きいです。
様々なトラブルを避けるためにも経験豊富で信頼できる業者に依頼し、相談しながら話を進めましょう。
納骨後の散骨は「墓じまい」に繋がることがあります。墓じまいには以下の書類が必要です。
遺骨の新しい受け入れ場所を証明するもので、改装許可証明書を申請するのに必要です。G24
散骨を業者に依頼する際、発行してもらえるか確認しましょう。
遺骨1体につき1枚必要で改装許可証明書を申請するのに必要です。霊園や寺院にはこれまでの感謝の気持ちを示しつつ散骨の話を進め、証明書を発行してもらいましょう。
上記2つの書類と共に申請します。ただし、散骨という理由では発行してもらえない自治体もあるようです。その場合は、家族だけで解決しようとせず業者に相談しましょう。
散骨業者の中には書類の申請など代行してくれる業者があります。業者を選択する際に確認し、実績がある業者に依頼すればほかにも様々な相談にのってくれるでしょう。
散骨に適した季節はある?
散骨の時期を決める際、季節のことを視野に入れることをおすすめします。散骨の方法や選んだ場所によっては、故人の希望があったとしても避けた方がいい季節があるからです。
参列者の中には年配の方や身体不自由な方または小さな子どもがいる場合もあります。参列者全員が無理することなく参加できる季節を選ぶとよいでしょう。
春は気温が20度前後と暖かく、散骨するのにはいい季節ですね、しかし、天候が変わりやすい、夜になると温度が下がるなど時間帯によって気を付ける必要もあります。
春の海水はまだ冷たく、海面を通過する風も冷たく船上ではコートなどが必要です。また、雨が降る季節でもあり天候によっては雨具の用意が必要となります。
遺骨を包んでいる水溶性の紙は湿気や水に弱いので、散骨前に破けると大変です。波の状態は穏やかなことが多い、4月、5月に行うとよいでしょう。
春は桜をはじめとして次々と花が咲く季節。気温は暖かく風が吹くと気持ちいいこともあります。晴天の暖かい日であればおすすめです。
場所によっては、何年経ってもお花見がてら手を合わせに行くこともできるでしょう。ただし、三寒四温という言葉があるように昨日までは暖かかったのに急に寒くなるということもあるので臨機応変に対応する必要があります。
夏の散骨は、暑さと台風による悪天候との戦いになります。近年では夕立というよりもゲリラ豪雨と呼ばれる激しい雨に襲われることがあるので注意しましょう。
天気予報をこまめに確認し、業者と詳細に打合せすることをおすすめします。
強い太陽の陽射しに加え海面からの照り返しもあり、船上はかなり暑くなります。また、台風や強い熱帯低気圧が発生しやすく、順延が続くことが多いです。
土日祝日に予定している場合多くの方と予定が重なり、大幅な順延となることが多々あります。どうしても夏に散骨する場合は、気温が上昇する前の早朝(日の出~8時頃)の出港を予約し、熱中症対策やこまめな水分補給を行うとよいでしょう。
天気にさえ気を付ければ山や森林などは、朝夕は涼しく散骨におすすめの季節です。街なかに比べて湿度も低いので参列者も過ごしやすいでしょう。ただし、空模様をよく観察しゲリラ豪雨には注意しましょう。
秋は紅葉が美しく情緒ある季節。しかし紅葉が深まるということは、季節は冬に向かっている証拠です。
寒さが厳しくなる前に散骨することをおすすめします。ただし、10月は台風の季節なので11月に入ってからの散骨をおすすめします。
台風の季節が終わった11月頃は波が穏やかです。海水がまだ温かいので船上もそれほど寒くありません。
ただし、12月に入ると陸地に比べて2~3度気温が低くなるほど一気にに冷え込みます。散骨はなるべく11月中に行いましょう。
紅葉が始まると一気に冷え込みが厳しくなります。遅くても紅葉が始まる頃には散骨したほうがよいでしょう。
朝夕は霧が出ることも多く湿度が高いので、乾燥している昼間の時間帯の予約をおすすめします。
本格的な寒さ到来であまりおすすめできる季節ではありません。防寒着をはじめとした、寒さ対策の荷物を持ちながらの移動は大変です。
1月の海上の船では凍えるような寒さなので、よほどの強い希望がない限り避けたほうがよいでしょう。どうしてもという方は、たとえば沖縄など冬でも暖かい海域での散骨か代行散骨をおすすめします。
2月の下旬には次第に暖かくなり、3月まで予約で混みあってくるので、準備は1月からはじめるとよいでしょう。
真っ白な雪の上に散骨をしてほしい、という故人や遺族がいらっしゃるかもしれません。しかし、パウダー状に粉骨した遺骨は想像以上に灰色です。雪の上に散骨を行うと目立つ上に、遺骨が陽射しで温かくなり散骨した部分だけ雪が溶けてしまいます。
また、雪の中を山や森林に入っていくのは大変です。雪解けを待っての散骨をおすすめします。
故人のことを思う気持ちが一番大事
ここまで散骨はいつ行ってもいいということをお伝えしました。明確な決まりがないだけに一番大切なのは、故人を思う気持ちです。もし、生前の話や遺書などで故人の希望が分かっている場合は、できる限り寄り添うことをおすすめします。
ただし、遺族や親族の気持ちや意見を尊重することも忘れてはいけません。関係者でよく話し合い、必要ならば業者の担当者と相談しながら最適な時期や季節について決定しましょう。
また、全て散骨するのか、一部散骨するのかまたは数年に分けるのか、どこに散骨するのかなども話し合いが必要です。よく話し合わずにトラブルに発展することは、故人にとっても悲しいことです。故人、遺族、親族全員が納得し、心穏やかに故人とお別れできるようにしましょう。
まとめ
散骨には、こうしなければいけないという決まりはありません。故人と遺族の双方にとって一番納得のいく時期や方法を話し合って決定しましょう。
ただし、海洋、陸地それぞれに適した季節があるので、参列者全員が参加しやすい季節を選ぶことをおすすめします。また、散骨を個人で行うことは難しいので、実績のある業者に依頼することをおすすめします。
困ったことや分からないことを相談すれば、気持ちに寄り添った的確な答えを出してくれるでしょう。
著者情報
未来のお思託編集部 散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。 |