鎌倉新書「お墓の消費者全国実態調査2023」によれば、調査開始以来初めて樹木葬が過半数を超え(51.8%)、さらに納骨堂のシェア率(20.2%)も一般墓(19.1%)を超え、一般墓の購入者は過去最小の割合となっています。「継承者不要」であることがその理由となっていることも伺える結果となりました。

 

2023年度の一般墓の平均購入価格は152.4万円。費用の内訳は「墓石代」「土地利用料」「その他諸経費」となります。2020年は176.2万円、2021年は169万円、2022年は158.7万円で推移しており、ハッキリと下落傾向にあります。

 

そんな中、最近人気を集めているのが「墓じまいセット」のお墓や「永代供養付墓地」です。跡を継ぐ人がいなくなったら墓所を解体・撤去し、永代供養墓に移してくれるサービスです。無縁仏になる心配がないのが支持を集めている理由。

 

樹木葬のシェアでもわかる通り、とにかく「お墓の継承者不要」が現代日本の一番の問題であることが伺える結果となっています。

一般墓は管理費もかかるというイメージがありますが……

自治体が運営する公営霊園の場合、年間の管理費は数百円で、負担する経費が抑えられています。これが民営霊園だと目安は5,000円~15,000円ほど、寺院の墓地は年間の管理費は数千円~30,000円程度になります。この金額を高いと考えるか、安いと考えるかは人それぞれ。「この程度の金額なら墓じまいするより支払ったほうがいい」と考える人が多いのも事実です。

 

お墓のサイズ、どの霊園・寺院に建てるかで当然金額は変わります。一般墓は高額と思われがちですが、吟味してみると納骨堂や樹木葬と大差のない場合もありますので、注意して選びましょう。

本当に「墓石」は不要なのかを考えて

何となくイメージも良く、人気を集めている海洋散骨ですが、散骨後にお参りしようとしたとき、実際に目の前に広がるのはただの海です。波もあるので、遺骨はその場所にはありません。「家族がここに眠っている」という感覚が湧きにくいというのも、海洋散骨経験者からよく聞く話です。

また、複数の遺骨を集めた「合祀」の場合、意外と後になって「ウチの遺骨を戻してほしい」というリクエストが起こるそうです。一度納骨してしまうと取り出せない場合もありますので、後悔しないようによくよく考える必要があります。

「長い期間残せる」ことの意味を

世界中で、なぜお墓は石なのかというと、木はいずれ朽ち果てるから。西洋だけでなく、木造建築の日本でも石を使っているのは「永遠に供養するため」です。なぜ石を選ぶのかという意味を一度しっかり考えてみましょう。

もちろん、墓地に墓石を建てることだけが解決法ではありません。全ての遺骨を海洋散骨や樹木葬にしてしまわず、一部の遺骨で位牌を作ったり、ハーバリウムにして手元供養するメリットは「形として残る」ことと「長い時間残せる」こと。継承者問題の解決にもなります。

 

「供養」の意味をしっかり考えたいものです。

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未来のお思託編集部
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