散骨を業者に依頼し、あとは散骨当日を迎えるだけ。いざ、散骨当日が近づいてくると、当日は何を持って行けばいいのか?服装はどうしたらいいか?など、悩む方も多いのではないでしょうか。

今回は散骨当日に必要な物や、持参していい副葬品についてお話しします。また、様々なケースがあるうちの、遠方へ移動する場合、委託散骨、海外での散骨について、必要な物をご紹介します。

安心して散骨当日を迎えるための参考にしていただけたら幸いです。

遺骨だけは忘れないように

遺骨だけは忘れないように
散骨当日「遺骨(遺灰)」だけは忘れないようにしましょう!

散骨を業者に委託する場合

遺骨の「粉骨」を一緒に依頼する方が殆どです。依頼した業者によって、散骨当日まで、粉骨した遺骨を預かってもらえる場合もありますが、通常は遺族へ戻されます。散骨すると決めた分量の遺骨を持ったことを確認し、散骨場所へ向かいましょう。

遺族の方のなかには、散骨自体初めてで緊張してしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか?持ち物や服装など本当にこれで大丈夫かと何度も確認してしまうこともあるでしょう。極端な話ですが、遺骨さえ忘れなければ他の持ち物を忘れてしまったとしてもあまり気にする必要はありません。

例えば海洋散骨は「献花用の花や花びら」「お茶などのソフトドリンク」が代金に含まれていることが多いです。また、寒さ対策の「ブランケット」や「防寒着」などが用意されている船舶もあります。

滞りなく散骨が終わったところで、残された骨壺はどうしたらいいか悩む方も少なくないと思います。散骨業者の殆どが、骨壺を引き取ってくれるので引き取りをお願いするとよいでしょう。ただし、引き取り料がかかる業者もあるので、希望する場合は事前に確認することをおすすめします。

遺骨以外に持っていたらいい持ち物はある?

遺骨以外に持っていたらいい持ち物はある?
散骨は、遺骨を忘れなければ大丈夫なのですが、他に必要な持ち物はないかと思う方もいらっしゃるでしょう。こちらでは、持って行ったら役立つ物や便利な物をご紹介します。

晴雨兼用の折りたたみ傘

家と現地が離れていて天候が異なる場合、折りたたみ傘ならバッグなどに入れられるので邪魔になりません。

風呂敷

風呂敷が1枚あれば、荷物が増えたときだけではなく、肌寒いときに羽織ったりひざにかけたりすることができます。また、撥水・防水加工が施してある風呂敷であれば、急な雨のとき一時的に凌ぐことができるでしょう。

替えの靴下(ストッキング)

散骨場所や気象条件によっては靴下が汚れたり濡れたりする場合があるかもしれません。替えの靴下を一足持っていたら、安心です。

CDやDVD

業者や葬送の方法によっては、故人の好きだったCDやDVDを流してもらえることがあります。希望する場合は持参してよいか、機材が必要か業者に確認しましょう。

これらは、あくまでも持っていたら役立ったり便利に使えたりする物です。散骨場所やその日の天候、または葬送の方法などで判断するとよいでしょう。

海洋散骨で用意していい副葬品とは

海洋散骨で用意していい副葬品とは
海洋散骨の場合、献花や献酒は散骨料金に含まれていることが殆どです。だからと言って、副葬品を持参してはいけないわけではありません。

プランに含まれているお花やお酒以外の故人が好きだった飲み物やお花を持参することも可能な業者があります。

持参したお花を献花する場合

自然に還らないラッピングは外しましょう。

献酒を持参する場合

どの業者も船体に色素が付着する可能性が高い「赤ワイン」は、断られることが多いので注意してください。また、食べ物も自然に還るものを適切な量であれば、撒くことも可能な場合があるので併せて相談するとよいでしょう。

さらに、故人へのお別れの言葉や折り紙なども水溶性の用紙であれば、撒くことが可能です。水溶性の用紙が分からない場合は、業者に問い合わせてください。

他にも遺骨と一緒に撒きたいものがある場合は、自己判断で用意したのに撒くことができなかったと嫌な思いを遺さないためにも、依頼した業者に相談することをおすすめします。

山や森林散骨で用意していい副葬品とは

山や森林散骨で用意していい副葬品とは
山や森林に散骨する場合、海洋散骨に比べて持参できる副葬品は少なくなります。

まず、下記の物は環境保全の意味で、遺骨と一緒に撒くことを禁止している場所や業者、寺院が殆どです。

献酒や食べ物

献酒や食べ物を供えたい場合、中身を出さず散骨を行っている間だけ供え、終わり次第、全て持ち帰りましょう。

献花

故人をお花でお送りしたい気持ちは分かります。また、花は自然のものなので献花してもよいとお思いの方もいらっしゃるでしょう。しかし、山や森林に散骨する場合は花が種になり芽が出てしまい、元の環境を変えてしまう可能性がないとはいえません。

花を一緒に散骨することを認めていない業者もあるようなので事前に調べておきましょう。その代わりにと、環境に還る水溶性の造花や花びらを用意してくれる業者もあります。

線香やろうそく

線香やろうそくは火事の原因となる可能性が高いので、持参しないでください。

持ち帰る前提での献酒などの供物、水溶性の花や手紙を希望する場合は業者や寺院に相談するとよいでしょう。

僧侶などの宗教者が立ち会う場合の持ち物

僧侶などの宗教者が立ち会う場合の持ち物
故人の遺志で散骨することを決めたあと、親族の希望などで僧侶などの宗教家をお願いする方もいらっしゃるでしょう。また、希望すれば宗教家を業者に紹介してもらえる場合もあります。

ここでは、散骨式に宗教家をお願いした場合、持参した方がいいものをご紹介します。

僧侶をお願いした場合
数珠(念珠)

数珠は、念仏や真言、題目をあげるための仏具なのでできれば用意しましょう。

位牌(用意がある場合)

分骨や葬儀をして位牌がある方は、僧侶が戒名を読み上げてくれるので持参するとよいでしょう。

神父や牧師をお願いした場合
ロザリオについて

故人がもともとキリスト教でない場合や参列者がキリスト教ではない場合、新たに用意する必要はありません。参列者にキリスト教の方がいたら、これまでの経験や親族などとの相談で持参するかどうかを判断するとよいでしょう。

神主をお願いした場合

神式では数珠やロザリオのようなものはないので、特に何か用意する必要はありません。

共通する持ち物
故人の写真

散骨に故人の写真を持参する方が、多くいらっしゃるようです。よく葬儀で見かける大きさの写真は、持ち運びには不便な大きさです。写真を持参する場合は、バッグに入る大きさの写真をおすすめします。

宗教者へのお礼

業者に相談して宗教家を紹介してもらう場合でも、宗教家へのお礼は業者のプランには入っていません。また、ホームページにも宗教家へのお礼について書かれていることは殆どありません。
宗教家にお願いしたい場合やお願いしたことで分からないことは、業者に相談してみてください。これまで培った経験と知識でアドバイスしてもらえるでしょう。

喪服を持って行ってもいい?

喪服を持って行ってもいい?
散骨を法要または葬儀として考えると、喪服で参列したいと思う方もいることでしょう。

ですが、海洋散骨でも山や森林への散骨でも、一般の方も利用する桟橋や道路などを使用することが殆どです。一般の利用者が不快な思いをしたり、散骨に利用する場所が風評被害にあったりしないためにも喪服での参列はやめましょう。

海でも山や森林でも場合によっては滑ってしまう場合があるので、スニーカーなど動きやすい靴を着用してください。特に山や森林散骨の場合、現地まで山登りのような場所を歩くことがあるので動きやすい服装をおすすめします。

ただ、どうしても散骨のときは喪服で参加したいという方は業者に相談してみてください。葬送の方法や散骨場所によっては喪服を持参し散骨場所近くで着替えることができるかもしれません。あくまでも可能性ですので、問い合わせたからといって必ず着替えできる場所を用意してもらえるとは限らないので注意してください。

遠方で散骨する場合は飛行機や新幹線で遺骨を運べる?

遠方で散骨する場合は飛行機や新幹線で遺骨を運べる?
故人が希望する散骨場所が必ずしも近いとは限りません。

場所によっては新幹線や飛行機などの移動が必要な場合があります。その場合、遺骨はどのように運んだらいいか分からない方が多いのではないでしょうか?

遺骨を遠方まで運ぶ主な公共交通手段は次の3つが主な方法です。

  • 飛行機
  • 新幹線(電車)
  • 長距離バス

基本的にはどの方法も遺骨を運んでいけないなどの制限はありません。他の乗客の方の目があるので、風呂敷や市販されている専用のバッグなどに入れることをおすすめします。

遺骨を運ぶことに制限はないのですが、飛行機の場合は気を付けなればならないことがあります。

  • 骨壺の大きさ(バッグに入れたり、風呂敷などに包んだときの大きさ)
  • 保安検査場でのチェック(X線検査での内容物確認)

まず、骨壺の大きさですが利用する航空会社の手荷物で持ち込める大きさでなくてはいけません。大きさの制限は各航空会社で異なることがあるので事前に確認しておきましょう。粉骨した遺骨を持ち込む場合、骨壺の素材などによってはX線検査を通過できない場合があります。

もしもに備えてすぐに見せられるように下記の書類を用意しておくことをおすすめします。

  • 死亡証明書
  • 埋葬証明書
  • 火葬証明書
  • 火葬許可証
  • 埋葬許可書
  • 粉骨証明書(粉骨した業者が発行してくれた場合)

長距離を移動する場合は、骨壺など遺骨を納めた容器が壊れないようにすることが重要です。

また、初めてのことで不安や心配なことも多いと思います。そのようなことは、散骨を依頼した業者の担当者に全て相談して、心配事を無くして故人とのお別れに向かいましょう。

委託散骨で送る物

これまでは、遺族が散骨に立ち会うときの持ち物などについてお話ししてきました。

なかには様々な理由で立ち会うことができず、委託散骨という方法を選択される方もいらっしゃると思います。ここでは委託散骨で遺骨と一緒に必ず送らなければいけない物や副葬品についてお話しします。

業者に送るものは以下の通りです。

  • 遺骨(業者によっては粉骨も依頼可能)
  • 火葬証明書、埋葬許可証(埋火葬許可証、死体火葬許可証、火葬許可証)、埋葬証明書、死亡届出書、改装許可証、除籍謄本のうちのいずれか1通のコピー
  • 散骨依頼者(祭祀承継者)の、運転免許証、パスポート、マイナンバーカードの表面、住民票のうちいずれか1通のコピー

業者によって必要書類を申し込みの際に送る場合と、遺骨と一緒に送る場合があります。どちらの業者も必要書類は殆ど同じで業者によっては「埋葬許可証」と「改装許可証」の両方が必要な場合があります。

海洋散骨を委託する場合

船舶のお見送りができる業者があるので可能であれば出航場所まで行ってみてはいかがでしょうか。その場合、出航前に業者が用意した水溶性の用紙に故人への手紙を書くことができる場合があるので、最後に故人への思いをしたためることができます。
たとえ立ち会えない場合でも、自然に還るもので、腐らないものであれば副葬品を送れば一緒に散骨してくれることが多いです。また、料金のなかに献酒や献花が含まれていることが多いので、お花やお酒を送る必要がないのは委託散骨のよい点ではないでしょうか。
委託散骨は立ち会えない分、希望は当然のこと疑問や不安に思うことを全て伝え、希望する形で散骨してくれる業者を選びましょう。

海外での散骨に必要な持ち物

海外での散骨に必要な持ち物
最近では、日本国内だけではなく海外での散骨を希望する方も増えています。

では、海外で散骨する場合、遺骨はどのように運べばいいのか、持参した方がいい書類などはあるのかをお話ししていきます。海外へ遺骨を運ぶ場合、次のことが絶対条件です。

パウダー状に粉骨する

粉骨したら真空パックなどに入れて、手荷物として持ち込みましょう。なぜならスーツケースなどに入れると薬物と勘違いされることがあるからです。
入国する言語に訳した下記の書類の用意が必要です。(赤ボールペンなどで訳したものを横に書いておけばよい)

死亡診断書や埋葬(火葬)許可書のコピー

これらは、出国または入国する際、遺骨が何か問われたときに見せると理解してもらえることが殆どです。また、粉骨業者によって、海外で散骨することを伝えると「英文の粉骨証明書」を作成してくれる場合があるので、問い合わせてみるとよいでしょう。

ただし、これらはあくまでも現在の情報です。必要な書類は国や州によって異なり、日々変わっていく可能性があります。

また、語学に堪能でも専門用語など難しい場合もあるでしょう。自分で調べたり訳したりするのには限界があるので、海外での散骨については実績のある業者に相談することをおすすめします。

遺骨は必ず粉骨しましょう

遺骨は必ず粉骨しましょう
既にお気付きの方もいらっしゃると思いますが、散骨をどこの場所に行う場合でも遺骨は必ず粉骨(パウダー状)しなければいけません。それは、遺骨をそのまま撒けば遺棄罪となり法律違反になるからです。

また、法務省が節度をもって実施する散骨は遺棄罪にはならないと法見解を出したとされています。この節度のなかに、粉骨するという内容が含まれています。

そして、粉骨した遺骨のなかに入れ歯の金属の一部など異物が混入していることがあります。これらは自然に悪影響を与えるので必ず取り除かなければいけません。

粉骨は自分ですることもできますが、その作業は大変なので業者に依頼する方が殆どです。
粉骨を行っている業者によっては、希望すれば粉骨作業に立ち会うことができる業者や、一緒に粉骨作業を行える業者があります。粉骨に立ち会うことで故人への供養の思いが高まるのと同時に、確かに故人の遺骨であると確認ができ、安心できることでしょう。また、海洋散骨をすることを伝えると、水溶性の紙に必要な数の分だけ包んでくれる業者もあります。

散骨は異なる業者に依頼していても、粉骨だけ行ってくれる業者があります。粉骨に立ち会いたい場合は、そのようなサービスがあるか業者によく確認することが大切です。

まとめ

1.散骨当日は「遺骨(遺灰)」だけは忘れない
2.副葬品は自然に還るものに限り、散骨業者に確認する
3.宗教家をお願いする場合、お礼は別に用意する
4.飛行機で移動する場合、委託散骨の場合は必要な書類がある

散骨当日の持ち物は「遺骨(遺灰)」を忘れないようにすれば大丈夫です。

副葬品を準備したい場合は、何をどれくらい撒きたいのか事前に業者に確認するようにしましょう。

葬儀は何度か経験していても、散骨は初めての方が多くいらっしゃるでしょう。不安なことや分からないことをはじめ希望や要望についても、遠慮せず業者に相談することをおすすめします。

著者情報

著者情報
未来のお思託編集部
散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。