働き盛りの40代は、仕事に追われ家庭に追われ人生を振り返る間もなく走り続ける年代ですが、親の病気や介護など、今まで当たり前だった生活に変化が訪れる年齢でもあります。
必然的に親の治療方針や亡くなった後のことなどの選択を迫られ、もはや終活を他人事といってはいられません。親の終活をする前に、あるいは同時に、自分の終活をしませんか?
終活を40代からはじめると、有意義な人生を送ることができるようになるでしょう。
40代で終活するとき知っておきたいこと
終活は亡くなった後のためだけでなく、病気のときに受けたい医療や資産をどう使いたいかなど、未来の自分について考えをまとめ、家族に伝えることです。
病気や事故など、不測の事態は年齢にかかわらず起こることです。働き盛りの40代だからこそ、家族が困らないように準備しておくべきだということを知っておいてください。
更に、人生の後半戦にさしかかる40代に終活をはじめれば、やり残したことをピックアップできて、先の人生設計に加えられる大きなメリットがあります。
また、先祖代々の墓じまいを検討している人は特に40代で終活すれば、お墓の行く末について親や親族とじっくり相談ができ、スムーズに進められるでしょう。
40代の終活はエンディングノートからはじめる
エンディングノートは、どの年代からはじめるとしても終活として最初におこなう作業です。
自分が病気になったり亡くなったりしたときに、家族が様々な判断や手続きをするための情報を文章としてまとめておくものです。決められた書式や内容はなく、自分の歴史をさかのぼり、現在の情報を含めて記録に残します。
40代からはじめるエンディングノートでしたら、家族へのメッセージや自分が望む未来についてなど、ポジティブなイメージで書きはじめるのはいかがでしょうか?
書式も内容も決まりがないといわれると何を書いてよいかわからないと思いますが、最近は市販のものもありますし、無料でダウンロードできるネット情報もありますので参考にしてください。
ここからはエンディングノートに書くべき4項目について詳しく紹介します。
①自分の基本情報
事故にしろ病気にしろ、体の自由が利かなくなったときには、いくつもの手続きに翻弄されるものです。
例えば、入院する場合は病院に提出する書類だけでも「入院申し込み」「寝具のレンタル品」「リハビリに関する書類」などがあります。医療保険や役所に提出する書類など、同じような事柄を複数書き込まなければなりません。
そんなときに、以下のような自分の基本情報をまとめたメモがあれば、家族などがスムーズに代理で手続きをすることができます。
- 生年月日
- 氏名
- 住所
- 年齢
- 血液型 など
また、花粉症や食物アレルギーなどの病歴も医療機関で確認されますので、記載しておきましょう。
40代から終活をはじめるにあたり、自分の考えを整理するために、過去を振り返ることは大切です。
自分の歴史の内容例は以下になります。
- いつどこで生まれたか
- どのような友達がいたか
- どのようなことに興味を持っていたか
- どのような夢を描いていたか
- 学校で何を学んだか
- どのような仕事をしたか
時間をかけて生まれてから現在にいたる足跡をたどり、時系列で書いてください。
自分の歴史を書き出すことは、タイムスリップして忘れていた自分に巡り合う旅のようなもので、人生の後半戦でやり残した夢を叶えるチャンスにつながるでしょう。
生活を共にする家族とは、関係が近いからこそ終活について話をする機会が少ないものです。エンディングノートをとおして、家族への思いを伝える準備をしましょう。
40代から書きはじめれば、まだ学生や社会人になりたての子どもへ、人生の先輩としてエールを送れます。
ノートを更新していけば、40代を筆頭に、その時々に伝えたかったメッセージが残せて、それ自体が厚みのあるメッセージになるでしょう。
②医療について
まず、「保険証番号」「かかりつけ医」「持病」「薬」など、現在の情報をまとめます。
また、過去にかかった病気・ケガ・受けた手術について、かかった病院や担当医の情報を時系列に記載しておきましょう。
その上で、先々に病気やケガで倒れたときのために、以下の項目を検討しておきます。
- 癌などの難しい病気になったときは、先進医療をどこまで受けたいか
- 脳梗塞など体の自由を奪われたときは、病院での治療を望むのか、在宅を希望するのか
- 延命治療を希望するのか
体の自由が奪われるだけでなく、突然、意思の疎通ができなくなることも考えられます。これらを検討して書面にまとめておけば、家族が重い決断を背負わずにすみます。
③葬儀について
葬儀というと以前は親族や友人以外に仕事関係者や近所の人をまじえた大掛かりな儀式でした。しかし、ご近所付き合いが希薄になった昨今は、親族も近くにいないなどの理由で家族だけで葬儀をするケースが増えています。
とはいえ、自分が亡くなった後は、自分がどのような葬儀をしてほしいと考えていたかを残された家族に気持ちを伝えるすべがありません。
特に40代は働き盛りで交友関係も広く、亡くなったことを誰に連絡し、誰に葬儀に参列してもらうのか、その連絡先などがわからないと家族は困ります。
40代だからこそ終活としてエンディングノートに、希望する葬儀の形や連絡する人と連絡先のリストを書いておきましょう。
葬儀社と生前契約を済ませ、契約書を家族にわかるようにしておくのもよいでしょう。
亡くなった後に家族が困らないように、遺影として使ってほしい写真を用意しておくと安心です。悲しみに暮れる間もなく、葬儀の準備を筆頭に雑務に追われる家族の負担軽減につながります。
せっかく40代から終活するのであれば、年に1回家族写真を撮ってその写真を遺影に使うというのはどうでしょう。遺影目的としてではなく、家族の記録を毎年更新するかたわら、終活の一端を担えればそれ自体が家族との思い出づくりになります。
先祖代々のお墓がある場合は、終活としてお墓の行く末を考え、場合によっては墓じまいを検討しましょう。
墓じまいは「親族に了承を得る」「菩提寺に相談する」「役所へ手続きをする」など、時間や手間がかかります。40代からじっくり腰を据えて取り組めば、納得のいく結果につながるでしょう。
また、墓じまいをする人もお墓がない人も、何らかの遺骨の行き先を決めなければなりません。最近は、お墓の維持費やお墓参りの負担をかけたくないと考え、若い世代にお墓を継がせる習慣が薄らいでいます。
「散骨」のようにお墓を持たない供養方法や、「樹木葬」「納骨堂」などの永代供養墓に納骨する方法もありますので、リサーチするのはいかがでしょうか。
④財産について
財産は、預貯金のほか、各種保険、美術品や骨董品、不動産のことです。
40代からはじめる終活の「財産について」は、以下のように進めるとよいでしょう。
- 口座や保険、有価証券や不動産など価値のあるものをリストアップする
- 支払い口座は1つにまとめて、不要な口座は解約するなど整理する
- 各種保険は、年齢や家族環境に合った契約内容へ見直す
- 不動産や美術品・骨董品は価値を調べ、処分するものは処分(現金化を含む)、残すものは誰に譲るか決める
自分が亡くなった後に家族が争うことがないよう、財産については法的効力のある遺言書を作成することをおすすめします。
携帯の契約、メールアドレス、スマホやパソコンのアプリなどは、「IDとパスワード」で管理されています。
本人であっても、IDとパスワードが分からなくなることがありませんか?
契約変更や退会時に必要となるので、終活のためということではなく、この機会にまとめておきましょう。リスト化しエンディングノートに書いておけば備忘録として活用でき、いざというときには家族がスムーズに解約を進められます。
エンディングノート失敗しないポイント
エンディングノートは、墓じまいのように数年を要す内容も含まれていて、最後まで書き終えるには相当の労力を要します。
エンディングノートを失敗しないで書き終えるポイントは、書きやすいことから書くということです!
住所・氏名・年齢などから書き進め、並行して墓じまいについてや、医療について考えをまとめて書いていけば、途中で挫折せずに書き進められます。全項目を埋めるには数年を要しますが、その間に状況や情報が変化・更新されますので、空欄があってもよいのです。
何より40代から終活をはじめることに意義があり、終活として、自分に関する情報を集め把握するための最初の一歩だということを忘れないでください。
終活のために40代で断捨離をはじめる
断捨離とは不要なものを「捨て」「断つ」ことで、ものへの執着から「離れる」ことを意味し、もったいないという固定観念から離れ、身軽で快適な生活と人生を手に入れる思想から生まれた言葉です。
断捨離はあくまでも快適な人生を送るための手段であって、本来、終活のための行為ではありません。しかし、終活をきっかけに断捨離をする人が多いです。
40代はまだまだ、ものが増える年齢ですが、この時期から断捨離という考えを頭の片隅に置いておけば、無用なものを購入することがなくなります。
ものにあふれた場所では、思考が鈍るといわれます。断捨離をすることで、その他の終活がはかどるようになるかもしれません。
断捨離をすると部屋が片付くだけでなく、「時間」「お金」「気持ち」に余裕が生まれます。
部屋が片付いているので、ものを探す時間が省ける
持ちものが把握でき同じようなものを購入しなくなる、不用品はリサイクルショップなどで売れる
ものを探すストレスから解放され、気持ちに余裕が生まれる
40代は公私共に多忙な時期ではありますが、まずは部屋を片付けるというイメージで断捨離をはじめるのはいかがでしょうか?
そこから「時間」「お金」「気持ち」に余裕が生まれ、終活が一緒におこなえると考えると気楽に断捨離ができると思います。
断捨離は、以下の手順で進めるとよいでしょう。
- 場所ごとにものを「使うもの」「たまに使うもの」「使っていないもの」に分類
- 使うものは、使いやすい場所に置く
- たまに使うものは、使うシチュエーションを念頭に移動
- 使っていないものは、思い切って処分
- 収納場所の7割を目安にものを残し、3割のスペースは開けておくように心がける
断捨離は必要なものを把握して、生活しやすくする行為です。3割のスペースがあれば新たなものを購入したとしても、すぐにものがあふれずにすみます。
なお、断捨離は1度おこなったら終わりではなく、定期的に改めて「使うもの」「たまに使うもの」「使っていないもの」の分類から繰り返しましょう。
断捨離は一気にできるものではありませんし、無理にやろうとしても続きません。失敗しないために、まずは財布の中や引き出し1つなど、簡単なところからはじめることがポイントです。
例えば、お財布に入っている使っていないポイントカードやレシートを処分したり、必要なレシートなら自宅の所定の場所へ保管したり、持ち歩く必要がないものを整理したりします。
引き出しの中にある使いかけのボールペンや小さくなった消しゴム、古くなったクリップなどを処分し、使いやすく整えるだけでもよいですね。
「終活だ!」「断捨離だ!」と意気込まず、使うものと不用なものを見極める感覚を身に着ける感覚でおこないましょう。
終活年賀状
終活の一環として年賀状を見直す、終活年賀状というものがあります。
「この年賀状をもって最後にさせていただきます」と、今後の年賀状の辞退を知らせるものです。
「誠に勝手ではありますが」と、あくまでも自分の都合だということを書き添えて、縁がなくなるわけではないので「変わらぬお付き合いをお願いいたします」と書くなど、相手への配慮を忘れてはいけません。
もし自分が受け取った場合には、相手の意思を汲んで返事を控えるか、返事する際も「こちらも年賀状は差し控えますが、変わらぬお付き合いをお願いいたします」と、相手の気持ちを思いやる姿勢が大切です。
年賀状のやり取りがなくても、縁がなくなるわけではないということを忘れてはいけません。
身元保証人代行サービス
40代で急な病気やケガで入院しなくてはならないときに家族がいればよいですが、そうでない人はどうしたらよいのでしょうか?
そのようなときのために、家族に代わって身元保証人になってくれる代行サービスがあります。
入院や介護施設利用時に必要な保証人を代行するサービスで終活相談ができ、別途契約しておけば亡くなった後の「葬儀」「納骨」「事務全般」を担ってくれます。
おひとりさまや子どもがいない夫婦でしたら、終活として先々のために検討してみるのはいかがでしょう。家族がいる場合でも、手術のときに医療機関から世帯を別にした保証人を求められることがあります。
働き盛りの40代だからこそ、不測の事態を仮定して、様々なサービスを調べておくことをおすすめします。
まとめ
終活を40代からはじめれば、じっくり時間をかける余裕が生まれます。
自分の人生を見つめ直し、よりよい人生を送るために前向きに取り組んでください。
著者情報
未来のお思託編集部 散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。 |