70代からでも遅くない!終活のすすめ

人生100年時代と言われる現代なので、70代からの終活でも決して遅くありません。

終活は、最期のことだけではなく、老後の生き方そのものを考えます。

これからの人生をより豊かなものにするチャンスです。

家族や親しい人と終活の内容を共有して、普段の生活により良いゆとりを持たせませんか。

身辺整理やエンディングノートなど、終活に欠かせない気になるポイントを解説します。

この記事を参考に、終活を進めていきましょう。

終活をする理由は?70代の元気なうちに始めよう!

終活をする理由は?70代の元気なうちに始めよう!
終活を実際に行っている人を対象にしたアンケートで、終活を始めた理由に関して調べたところ「家族に迷惑をかけないように」という回答が多く挙げられています。

家族のことを思って行う終活は、家族と会話する時間が生まれ、互いの思いや意見を知るきっかけにもなるでしょう。その反面、家族や周囲の意見に依存した終活になってしまうと、自分の納得がいく内容にならないかもしれません。

家族に相談しつつ、自分がより良く生きるための終活をしてみませんか?

終活をする前に70代以降の人生について考えてみよう

終活は自分の最期の時を含めて、残りの人生を謳歌するための活動です。自分の中で、譲れない信念やこだわりを見つめ直してみましょう。

終活の軸としてブレない考え方を持てば、迷いが減って終活が進めやすくなります。

70代からの終活で行っておきたい6つのこと

70代からの終活で行っておきたい6つのこと
70代からの終活をスムーズに進め、納得できる形で終えられるよう、ポイントを6つに分けて解説していきます。

①家族や親しい人と終活していることを共有する

まずは、終活していることを周囲と共有することです。

万一の時の葬儀や供養までのことを準備しているのであれば、家族などに自分の考えや希望を知っておいてもらう必要があります。共有していないと、自分が望んだ形に葬儀や供養がされない場合があるからです。

エンディングノートを利用しよう

エンディングノートを利用しよう
「エンディングノート」は、自分に関わる様々な事項を記録しておく、終活のためのノートです。

エンディングノートの内容例
  • 住所や生年月日などの基本的な情報
  • 家族について
  • 既往症、かかりつけ医
  • 現在に至るまでの自分史
  • これからの理想の姿や生き方

エンディングノートを配布している自治体や企業があり、内容も様々です。書き込みやすいエンディングノートを使うと良いでしょう。

書き込んだら、家族や親しい友人にエンディングノートの保管場所を伝えましょう。

おひとりさまでも大丈夫!制度を利用して終活しよう

おひとりさまでも大丈夫!制度を利用して終活しよう
1人で生活している人こそ、終活はおすすめです。

自治体や企業のサポートを利用すれば、たとえ身寄りがなかったり、家族と疎遠だったりしても問題ありません。サポートについて、詳しく解説していきましょう。

行政や自治体の終活対策を調べてみよう

エンディングノートの無償配布やセミナーを開催し、終活を推奨している自治体が多くあります。

日本の全世帯のうち、1人あるいは夫婦のみの世帯は2015年の時点で既に半分以上、2040年には60%を超えるとされています。
※国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」

終活は、孤独死や無縁仏を減らす取り組みでもあるのです。

神奈川県横須賀市では、登録された終活情報を市が管理し実行する制度があります。

生きている間に支援してもらう後見制度

病気やケガ、加齢により、判断能力が乏しくなってしまうと、財産の管理や契約、相続の話し合い、決定することが難しくなります。

その場合には、自己決定能力に不安がある人を助け、不利益にならないように法で定められた「成年後見制度」を活用すると良いでしょう。

成年後見制度には、以下の2種類があります。

法廷後見制度

家庭裁判所によって選任された人に法律上の権利を持たせる

任意後見制度

依頼する権限の範囲を決め、依頼したい相手を自分で決められる

亡くなった後のための死後事務委任

人が亡くなると、行政手続きや関係先への連絡、葬儀の検討など、残された誰かが行わなければならない作業が発生します。自分の死後、自らこれらの対応をすることは不可能です。

依頼できる人がいない場合は「死後事務委任」の利用を検討すると良いでしょう。

死後事務委任とは?
死後に必要な事務手続きを委託する生前契約のことです。

死後事務委任は、弁護士やNPO、企業などが受け付けています。ただ、まとまった費用が必要になりますので、一度、自治体に相談すると良いでしょう。

②これからの自分にとって必要なものかどうか整理する

②これからの自分にとって必要なものかどうか整理する
2つ目は、自分にとって必要なものを厳選し身辺整理をすることです。

自分にとって大事なものを残し、不用なものは処分していきます。自分の死後、家族が遺品整理に手を煩わせないよう、終活で整理しておきましょう。

自分の持ちものを見直してみよう

持ちものの中には、処分の難しいものがあります。

  • スマートフォン
  • 携帯電話
  • パソコン
  • 記録用媒体 など

これらのデジタルデータは、物理的に破壊することができても、中のデータまでは消去できません。また、クレジットカードをそのまま捨ててしまうと悪用される可能性があります。

処分が難しくデリケートな内容を含むものについては、エンディングノートに記載しましょう。

その他の持ちものも、余生に必要か考えてみてください。

人間関係も終活で整理することのひとつ

終活にあたり、交友関係についても見直してみましょう。

最も見直しをしやすいのが、年賀状を出す相手です。

年賀状で挨拶を交わすのみの相手はいませんか?

そんな年賀状を交わすだけの知り合いへは、次年以降の年賀状を辞めることがおすすめです。

年賀状の負担や終活を理由に、今年を持って辞退する文言を載せた「終活年賀状」を送ります。

終活年賀状を送る人を選別する際に、自分に何かあった時に連絡を取ってほしい相手を抜粋します。エンディングノートにその人達の名前や連絡先を記入しておけば、いざという時に家族がスムーズに連絡を取ることができます。

③受けたい医療と治療方針をはっきりさせる

③受けたい医療と治療方針をはっきりさせる
3つ目は、もしもの時の医療や治療方針を決めておくことです。

受けたい医療と治療方針を家族と相談し、主治医にも伝えておきます。

エンディングノートによっては、詳しく記入する欄があります。

例えば、宮崎市の「わたしノート」では救命救急を受ける状況を想定した箇所があり、延命治療の希望だけではなく、主治医と家族の署名欄まで設けられています。

④終の棲家をどうするのか考える

4つ目は、終の棲家についてです。

自分がこの先、住みたい場所はどこでしょうか?

今の自宅に住み続ける場合、今後の健康状態や介護を踏まえ、在宅医療が可能な住宅か確認します。必要に応じてリフォームなどをして、快適に暮らせるようにしましょう。

シニアの住まいいろいろ

シニア層の住まいは様々な形態があり、入居の基準が異なります。

理想の生活を叶えられる住まいを探しましょう。

自立した生活を送れる人向けの住まい

自立した生活を送れる人向けの住まい
自分で家事や身の回りのことを行える、自立した生活を送れる人でしたら、以下の4つの暮らし方があります。

サービス付き高齢者住宅

安否確認と生活相談サービスが受けられ、常駐の相談員がいるバリアフリー住宅になります。
介護が必要になった場合、基本的には外部の在宅サービスを利用し、住み続けることができます。

健康型有料老人ホーム

健康増進設備が充実した、食事サービス付きの高齢者施設になります。
自立状態が必須条件の場合、介護が必要になると退去しなければなりません。

シニア向け分譲マンション

通常の分譲物件と同様に資産運用が可能な住宅になります。
介護が必要な場合は、在宅サービスを利用します。

軽費老人ホーム

身寄りのない高齢者が自治体の助成により低額で入居できる公的施設になります。
高齢者向けの施設を紹介しましたが、自立した生活を送れる場合、高齢者向けでない物件でも問題なく、選ぶ基準は自由です。

介護が必要な人のための公的施設

介護が必要な人のための公的施設
介護が必要な人のための公的施設は「介護保険施設」と呼び、以下の3種類があります。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

要介護度3以上の高齢者が対象の施設になります。
身体介護から生活支援、リハビリまで、あらゆる介護サービスを行い、重度の認知症も受け入れています。介護保険施設の中で、唯一、終の棲家にできる施設です。

介護老人保健施設

退院してすぐの在宅生活が困難な人向けの施設になります。
要介護1以上で、在宅復帰を目指すリハビリテーションをメインに行います。

介護療養型医療施設

医療機関としての役割が大きい施設になります。
医療的管理やリハビリテーション、充実した医療的ケアを受けることができます。

⑤万一の時のために葬儀やお墓の準備をする

⑤万一の時のために葬儀やお墓の準備をする
5つ目のポイントは、葬儀やお墓に関してです。

自分の最期、葬儀、供養までを自身でプロデュースしたいなら、家族や信頼している人に相談してみましょう。誰かの助けがなければ、理想の供養まで実現することは難しいからです。

お墓に関する悩みは終活で同時に解消しよう

先祖代々のお墓が遠方で管理が大変だったり、後継者がいなかったり、今のお墓に悩みがある場合は、終活で解消しませんか?

新しい供養先の見学や立ち会い、契約が想定されるため、元気なうちに取りかかりましょう。

終活としての墓じまいのすすめ

今のお墓に悩みがある人は、終活の一環として「墓じまい」を選択肢のひとつとして検討することをおすすめします。

墓じまいとは?
今のお墓に納められている遺骨を別の方法で供養することです。そのため、お墓を撤去することが目的ではありません。

墓じまいでは、遺骨の次の供養先を検討する必要があり、候補としては以下となります。

  • 新しいお墓を建てる
  • 納骨堂や樹木葬などの永代供養墓に引っ越しする(改葬)
  • パウダー状に加工し、散骨を行う
  • 手元に残して自宅などで供養する

お墓の引っ越しを「改葬」と呼び、2019年の件数は全国で12万を超えています。※令和元年度衛生行政報告例

改葬は珍しいことではなく、今のお墓の悩みを解決できる1つの手段です。

お墓を持たない選択もできる

お墓を持たない選択もできる
お墓の管理が負担に感じている人や、反対にお墓がなく困っている人もいるでしょう。

遺骨をないがしろにすると刑法で罰せられますし、許可なく埋葬することも違法行為です。しかし、きちんと遺骨を供養すれば、お墓がなくても問題ありません。

遺骨を供養しつつ、お墓を持たずにいるには「散骨」と「手元供養」の2つの方法があります。

お墓を持たない供養方法
散骨

パウダー状にした遺骨をまくことで自然に故人を還す葬送方法です。
全て散骨すれば手元に残らないため、お墓は必要ありません。また、半分は散骨して残りの半分を手元供養することもできます。

手元供養

遺骨を自分のそばに置いて供養をする方法です。

⑥相続について知っておく

⑥相続について知っておく
最後のポイントは、相続についてです。

自分の財産を把握しておくことは大切です。財産を把握し、価値はあるが不用なものなどは現金化するのも良いでしょう。

また自分の死後、財産をどのように分配するか検討、必要に応じて遺言の作成をしておきます。

公的な証明になる遺言を作成しよう

財産や相続に関する公的な意思表示を「遺言」と言います。公的な証明として認められるには、法律で定められた要式を遵守しなければなりません。

遺言は以下の3種類に分けられます。

  • 自筆証書遺言:自由に自筆で作成する遺言
  • 公正証書遺言:公証人が遺言書を作成し、公証役場に保管
  • 秘密証書遺言:自分で作成した遺言を公証人に承認してもらい、自分で保管

遺言作成に不安がある人は、弁護士や税理士に相談しましょう。

まとめ

1.70代からの終活は、老後を充実させるために行う
2.自分の基本情報から生き方、受けたい医療と治療方針まで記入したエンディングノートを準備し、家族や親しい人に終活をしていることを共有する
3.身寄りがいない場合、後見制度や死後事務委任を利用する
4.これからの自分にとって必要なものを厳選し、生活をより良くする住まいを探す
5.万一のことを想定し、葬儀や供養の生前契約、遺言作成などの準備をする

残りの人生を穏やかに楽しみながら過ごせるよう、ほど良いゆとりを持つことが大切です。

一緒に終活について考えてくれる人に相談し、自分のための終活を行ってください。

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未来のお思託編集部
散骨、お墓、終活などの準備に関する様々な知識を持つ専門チームです。皆さまのお役に立つ情報をお届けするため日々奮闘しております。